時は21XX年。世界は貧困や資源不足、企業による違法な実験や取引、市場の独占。弱者は虐げられ何も残さず朽ちていく。世界の国々の幾つかは多国籍企業に支配され、国内の産業は壊滅、また中小企業は経済の煽りを受けて倒産し、零細企業は音もなく息を引き取った。そうして国々は内部から破壊され大企業にしか富が集まらない傀儡国家となった。弱者と強者、両者の距離は広まっていくばかり、すでに両者の溝は修復困難のほどまで深く、人々の心に根強く根差した。
当然そうした動きに反対する勢力は出てきた。各国で反対運動が起こりその度に強く弾圧し、民衆の意思を根こそぎ刈り取ってきた。しかしある一つの国家が革命を成し遂げた。その国家はアリストラ共和国、カザフスタン共和国からの独立に成功した革命軍の国家である。アリストラ共和国は多国籍企業を追い出し国営企業をの発展に努めた。民衆の意思は一つだった、みんなが仕事に励み、みんなで苦労をねぎらい合った。そしてアリストラ共和国は着実に成長していく‥‥‥‥わけがなかった。革命軍のスローガン「格差をなくし平等に」は確かに果たされた。みんなが貧困になるという最悪な形によって。そもそも経済を自国だけで完結しようとしていたのが愚かだったのだ。国内だけの消費では賄うことなど到底できるはずがない。しかし海外に目を向ければ大企業が根を下ろしている。最初から無意味な革命だった。今やアリストラ共和国は多国籍企業に牛耳られ首など回らない。大量の失業者はスラムを作り治安悪化に勤めた。目を取られた税関は何も見えていない。国内は犯罪と銃が蔓延る楽園となった。そうして楽園にまた哀れな少年がやってきた。薄汚い少年は死んだ目で空を見ていた。何を考えているのか、なぜここにいるのか。その虚ろな目からは何も読み取ることが出来ない。少年は生きていけるのだろうか。銃と犯罪が蔓延り今にも崩れそうな世界で少年は堕ちる。
なろうでも書いてます