第61話 団体戦決勝戦闘技方法決定

 司会の声が響き渡る。


「みなさぁん!おまたせしましたぁ!新人武闘大会の花形団体戦!ついに決勝戦!今大会は例年にない2大本命のガチバトル!ほら、そこのお兄さんの顔からもバトルジャンキー臭が!」


 司会と目が合った・・・しかも俺の方に指を向けている。

 バトルジャンキーって俺か?

 顔に出ているのか?

 仕方がない、少しパフォーマンスをするか。


 タニスに剣を地面に突き刺して貰い、その場から少し離れる。


 そして、両手を上げて手をゆっくり叩き、俺が手を打つのに会場観客も合わせて叩く。 


 そしてタイミングを図り剣を目掛けて駆け出し、体操の床のようにダイナミックに跳び、身体能力向上で上げた力で空中で体を回転させ、剣の上に立った。


 会場から大歓声が起こった次の瞬間、笑いも飛び出した。


 2秒程で剣が折れて、ネイリスを押し倒す形で倒れたからだ。

 ネイリスの胸に顔を押し付ける形だった。


「あたたた。ネイリス、悪い・・・あれ?」


 胸にわずかだが柔らかさを感じた。


 パチン!


「えっちぃ!」


「えっ?嘘だ!お前女だったのか?」


「ボクの事男だと思っていたんっすか?」


「だってボクって言っているし、その格好は・・・」


「お前らは知っていたのか?」


 3人が縦に首を振る。


「おっとおお!格好良く決めた後は少し締まらないがあぁ!女性達からの好感度がアップ?しかも、パーティーメンバーの胸に顔を埋めるラッキースケベも手のひらの跡がくっきり残るうぅぅ!さしもの剣の王子様も女の一撃は躱せなかったぁ!えっと、ネイリス選手が男だとずっと思っていたああぁ!なぁんと!パーティーメンバーの性別を勘違いしてた事が発覚うぅ!」


 俺は穴があったら入りたい程恥ずかしかったが、会場は盛り上がったらしい。


 安っぽいメロドラマを見られたからか?


 しかしアルテイシアさんの俺を見る目は冷ややかだな。

 早く誤解を解きたい。


「さあて、決勝戦の対戦内容を決めるルーレットぉ!このように回し、止まった内容にぃ!取り敢えずお試しぃ!」


 勝ち抜き戦、総当たり戦、フィールド戦、サドンデス等で、お試しは勝ち抜き戦になった。


「さあ代表同士でじゃんけんを!」


 俺はグーを出しっぱなしにしておいたら、アルテイシアさんはパーを出した。


「では、黒き薔薇の代表はルーレットを回してください!1回転以上させて下さい!それ以下ですと、次は氷艶の魔眼代表が回す事にぃ!では!」


 直径2mほどの巨大なルーレットをアルテイシアさんは体重を乗せて思いっきり回した。

 観客が見守る中、止まったのはフィールド戦だった。


 ルールはこうだ。

 大将が倒されたら終わり。

 大将を含め、両陣営共首に武器を突き付けられる、気絶する、背中を地面につけられた状態で3秒間カウントをする。


 これらの条件を満たしてしまった者は退場となり、それが大将だった場合、それをもって試合は終了となる。

 それと死亡者が出たら、その時点で死亡者が出た方の勝ち。

 魔法攻撃は基本禁止。

 行った場合、やられた方は治療をし、行った方は1分間の退場となる。


 大将が逃げ、4人が敵の大将を討ちに行くのも手だと司会は告げる。


 一通り説明が終わると、30分の作戦タイムに入る事になった。


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