第11話 進化と溶岩地帯下層

【進化候補が複数存在します】

・エリートドラゴニュート

・フラムドラゴニュート

・バトルリザードマン


う〜ん?

悩ましいところだね。

エリートドラゴニュートは、多分正当に進化するタイプだね。

普通に上位種になって、強くなる感じ。

……でも、ハイをすっ飛ばしてエリートになるのか。

そういうのもあるんだね。


で、フラムドラゴニュートは…環境適応型かな?

溶岩地帯で活動してたから、熱に強く、炎を扱う種類になったのかも。


最後はバトルリザードマンだけど……これって、リザードマンに戻るの?

バトルって……戦闘特化ってことかな?

これになったら、次の進化でバトルドラゴニュートになれないかな?

……流石になれないか。

というか、普通にドラゴニュートからバトルドラゴニュートになったほうが早いし。


ん〜……進化先を鑑定してみるか。


【エリートドラゴニュート

 成長したドラゴニュートが至る通常上位種。高い戦闘能力を有し、下位竜と渡り合う実力を有するモノも存在する】


【フラムドラゴニュート

 高温地帯に適応したドラゴニュート。熱に対して完全耐性を有し、炎を身に纏う能力で周囲に熱をばら撒く。溶岩地帯など、極度に気温の高い場所に生息するため、目撃例は稀】


【バトルリザードマン

 非常に高い戦闘能力を有し、非常に攻撃的なリザードマン。闘争を至高の喜びとし、戦うことに己の全てを捧げる。また自身を打ち負かしたものには絶対の忠誠を誓い、生涯優秀な剣として主の敵を屠る】


なるほどね…?

この中だと、戦闘力的にはバトルリザードマンが一番強くて、次いでフラムドラゴニュートかな?

エリートドラゴニュートは、多分そんなに強くはないけど、正当進化だからグレーターとか、ジェネラルとか、キングが存在してるはず。

フラムは……伸びしろあるのかな?

バトルリザードマンは、ドラゴニュートになれる可能性を秘めてるけど…私誰かに忠誠を誓うとかできないからなぁ。

それに、万が一バトルリザードマン止まりだったら怖い。

…やっぱり、正当進化のエリートドラゴニュートにするか。

堅実に行ったほうが確実だしね。


【進化候補が選択されました。名前無しの進化を開始します】


さーて、くっそ痛い進化が始まるぞー。


私は、進化の激痛に耐えるべく気合を入れる。

そして、心の準備ができた頃に進化が始まった。


くうぅ…覚悟しててもこれなんだよなぁ…

やっぱり進化きつい…


私はしばらく激痛に耐え続け、進化が完了するのを待つ。

時間にすれば一分にもみたないのに、私には何時間も拷問されているように感じる。


やがて進化は完了し、何事もなかったかのようにまったく糸を引かずに痛みは消えた。


【名前無し

 エリートドラゴニュート Lv1/90

 スキル 鑑定 槍術 再生 怪力 威圧 剣術 空間収納 探知 魔力操作 火魔法 魔力鎧 竜鱗 思考加速 熱耐性    】


スキルは特に増えていない、と…

でも、なんか力がみなぎってくる。

進化の影響で、かなり強くなったのかな?

…それでもグノーにはまったく及ばないけど。

例えレベルが90まで上がったとしても、グノーは150くらいあったもん。

この差を覆せるだけの力は、私には無い。

またレベル上げの日々だね…


私はある程度進化して変わったことを調べ終えると、更にレベルを上げるために次なる獲物を探す。

既に27階層への道は見つけているので、下の階でレベルを上げるということもできる。

エリートドラゴニュートとなった今なら、27階層でも充分戦えるだろう。

モンスターのレベルが高い方がレベルは上げやすい事を考えると、降りても良いかもしれない。


「シャアアア、シャアアアアア(とりあえず、ここに居ても中々レベルは上がらないだろうし、行けるところまで行くか)」


私は、レベルを上げつつできるだけ深いところへ行くことにした。

しかし、その目標は長くは続かなかった。



八日後 29階層


「キシャアアァァァァアアア!!」


【名前無し 

 ドドガ Lv68/80

 熱耐性 剛牙 怪力 竜鱗 鋼鱗 猛毒 強酸 生体感知 超聴覚       】


「シャアアア!?(レベル上がりすぎだろ!?)」


29階層に来て、モンスターのレベルが異常なほど上がった。

最底辺の雑魚でさえ私と同格。

少し強いモンスターに至っては、平気で限界レベルが100を超えている。

何なら、下位竜クラスの化け物がそこら中に居るという地獄のような環境だ。


このダンジョン作った奴は馬鹿なんじゃないの?

こんなの攻略させる気ないじゃん。

ただでさえ突っ立ってるだけでも死にかねないほど熱いのに、出てくるモンスターの強さも下位竜クラスって……頭大丈夫か?

一回精神科医か誰かに診てもらった方がいいと思う。


「シャアアアッ!!」

「ギャッ!?」


私は、それなりに怪我をしながらもなんとかドドガとかいう、蛇に足をつけたみたいなモンスターを倒した。

蛇に足ってトカゲじゃんって思う人もいるかもしれない。

でも、コイツは本当に見た目が蛇なの。

そして、本当に足が取ってつけたように生えてるの。

アンバランス感が凄い。

これぞ蛇足って感じ。


「シャアアア…(あぁ…きっつ)」


29階層、本当にヤバイ。

熱いしキツイし化け物だらけだし。

この世の地獄か?

……一回、28階層へ行ったほうがいいかな?

ここじゃちょっと強いやつに目をつけられたら終わりなんだよね…

レベルの上がり方は凄いけど、このままだと命がいくつあっても足りない。

できるだけリスクは低くし――


「グガアアアアアアアアアア!!!」


言ってるそばから……


【名前無し

 ババードノ Lv56/90

 スキル 剛牙 剛腕 剛拳 怪力 熱耐性 炎纏               】


私の前に現れたのは、体長5メートルはありそうな巨体を持つ、炎のような赤い体毛で覆われたゴリラだった。

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