275 気分は永遠の絆

 それからは4人で試験の話題などで盛り上がり18時半には現地解散となった。


 柳沢君と別れて3人で大阪梅田行きの電車に乗る前、僕らは阪急川西能勢口駅のホームで話していた。



「白神君、私たちこれで良かったよね?」


 剖良先輩の隣に立ってそう尋ねたヤミ子先輩に、



「ええ、そうです。僕は先輩方の決断は立派だと思いました」


 僕は本音で答え、ヤミ子先輩は安心した表情を浮かべてくれた。



「じゃあ塔也君、私たちってお似合いだと思う?」

「前から思ってましたけど、ヤミ子先輩と剖良先輩って夫婦みたいですよね。何というか、お互い気を遣わずに仲良くできる幸せな関係だと思います」


 悪戯いたずらな笑みを浮かべて尋ねた剖良先輩に、僕はやはり本音で感想を述べた。



「……ありがとう。塔也君がそう言ってくれるなら私たちも安泰あんたいかな」

「確かにそんな感じするよね。じゃあ私はさっちゃんのお嫁さん? それともさっちゃんが私のお嫁さん?」

「ははは、どっちでも素敵だと思いますよ……」


 3人で仲良く談笑しながら、これまで本当に紆余曲折うよきょくせつあったがヤミ子先輩と剖良先輩が結ばれて良かったと率直に思った。



 ヤミ子先輩はアセクシャル、剖良先輩はレズビアンという若干いびつな関係ではあるが2人の間には性別を超越した絆がある。


 その絆が彼女らの仲を永遠に取り持ってくれるかは分からないが、少なくとも僕は2人の関係をずっと応援していきたいと思った。

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