挨拶回りと酔っ払い
旧雨今雨5
吊り下がるシャンデリア、ベロア調のソファ、
「金かかってんな」
約束通り訪れた
九龍城砦でこんな内装をした店はごく
金儲けだけを考えるなら作戦は悪くはない…そう思いつつ紫煙をくゆらす
「
「です」
「なんで水商売してんだよ」
飯作れんなら
「シケた
そう
と、部屋のカーテンが開き、スーツに身を包んだ序列の高そうな男が姿をあらわす。
「お口に合いました?すみません、お待たせして」
男の言葉に
「こんないい酒出してもらったらいくらだって待てますよ…つうか、堅苦しいのはやめようぜ。
含みのある言い回し。スーツの男は一瞬考えたが、自身もソファに座りグラスを手に取ると
「あの【宵城】の店主と
「九龍で後ろ盾が欲しいっつうことか?俺ぁ別に力がある訳じゃねぇぜ。
「後ろ盾というより、九龍一の店が
「
「女の子の
「
男は黙ったが、言葉の裏を読んでいるのが見て取れる。【
「
かなりギリギリを攻めた台詞。部屋の空気が冷え込む。カラン、と氷が溶ける音がして、よりいっそう静寂が際立った。
男が重たそうに唇を動かす。
「あまり好ましくない、ってことか?」
「いや?いいと思うぜ俺は」
ここまでのやりとりで、てっきり
仲良くしにきたって言っただろと笑う
「しばらく通ってみてくれ。親交を深めるのは大切だ。金はいらない」
「払わせろよ、余ってるからな」
通ってみてくれとは、今この場では全ては明かさないということ。そりゃそうだ、まだお互い、どんな人間なのかも腹の
宜しくと言う男に
それから他愛もない会話をし、ウィスキーの瓶を
「オロロロロ…」
「何で呑んだんだテメェは…」
路地裏にしゃがみ込んでウィスキーを吐き出す
店内をザッと見たが、メインで客の相手をしているキャストは九龍で捕まえた女達、レベルは総じて高い。サポートや裏方に徹している者はもともと
それに先日考えた通り、九龍で調達した人間と違い
そうなると、最後の最後まで手放さないな。時間の猶予がまだあるということ。
「
「あ?」
「おんぶ…」
「馬鹿か」
振り払おうと足をブンブンする
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
それから
そうして信頼を得ていくと、段々と
───そんなある日。
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