廚師とアポイントメント
旧雨今雨4
数日が経った夕方、【東風】。
「これはこれと合わせると栄養価がグーンと高まりますよ」
「そりゃわかってんだけどさぁ。ついこっち入れちゃうわけ」
「あー!ですよね!コク出すならそっちですもんね!」
「こいつどうする?使う?」
「使います、ここに含まれてるジアスターゼはタンパク質の消化に役立つ酵素ですしイソチオシアネートは酸化を防いでくれますからEPAとあっEPAはIPAとも呼ばれていますけど相乗効果でフードシナジーが」
「早口だな」
台所で
毎日2人で様々なご馳走を用意しては振る舞ってくれるので、食道楽の
九龍城砦の治安は常に最悪…しかしスラム街はなるべく避けて通る、地域によっては遅い時間の外出は控えるなど、基本的な注意事項を守ればそこまで危険ということも──多分──ない。
今日もそのお使いの成果である魚やら野菜やらを一生懸命調理している、世話になっている礼のつもりでもあるのだろう。ホクホクしながら出来上がりを待つ
その後ろで入り口の扉が開き、
「師範!」
エプロン姿の
「なんだよ、飯屋かここは」
「師範も食べていきます?
「じゃあ食うけど…んなことより
「はい!バッチリです!」
ドカッと椅子に座り、テーブル下の年代物老酒の瓶を引っ張り出す
なんとも腹の立つ対応だが、こちらの目的もその橋渡しだったのでグッと堪えて承諾。約束を取り付けて帰ってきた。
「女はどうだった?」
「みんな大丈夫そうでした。良かったです」
彼女達からしたら‘乗っ取られた’という認識は無い、オーナーが変わったのだろう程度。
裏の仕事に、気付いていなければ。
「でも急いでなんとかしたいです…
言いながら唇を噛む
花街の綺麗どころを集めて売り飛ばす
が、ぶっちゃけ
まぁとにかくその辺のビジネスの話を上手く聞き出したい、今は推測の域を出ない。
「約束の日はいつになったんだよ?」
「あ、明日です」
「
思いの外スピーディー。早いに越したことはないとはいえ多少は準備期間を設けさせろと
そんな
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