香港屋企
引っ越しと祝賀会
香港屋企
「…こんなもんかな」
荷物をまとめ終わった
そして世話になった我が家──あまり帰っていなかったが──をグルっと見回して、小さな声でありがとうと言った。
「ん?荷物それだけ?」
軽いノックのあと、玄関から顔を覗かせた
「うん、1人でも持てるっていったじゃん」
「そうだけど…ほんとにこんな少ないと思わないじゃない。まぁ1個は貸しなよ」
言いながら
今日は引っ越しだ。
とはいっても前々から【東風】へ入り浸ったり泊まったりすることが多かったので、正直今更ではあるのだが。それにくわえて引っ越しと呼ぶほどの荷物も持っておらず、ただのお泊りの延長線上といった感じだけれど。
「実はベッドのマットを新調したんですよ」
「そうなの?」
「そりゃあ
ビシッと人差し指を立てた
「あと、掛け布団もかえたし枕もかえた」
「全部じゃん。別にいいのに」
「駄目!
立てた人差し指をチッチッと振る
じゃあお礼に、と
「ご飯も用意してあんのよ。だからチャッチャと帰ろ♪」
めちゃくちゃ準備がいいな。あれ、でも
引き慣れた扉を開ける。と。
パンパンパァン!!バゴォッ!!!!
「引っ越しおめでとぉ!!」
音と共に
最後のひときわ大きな音は
「え、荷物すごい少ないね」
手ブラと言って差し支えない2人に
「もともとあんまり物持ってなかったから…ていうかみんなどうしたの…?」
鳴り渡るパーティークラッカー、テーブルにたくさん用意された料理。面食らった
「引っ越しだよ?お祝いしなくちゃ!」
「そーそー。
バズーカを顔面に食らっていたらしき
だから
「とっとと始めようぜ。腹ぁ減ってんだよ」
「
「
「あ、うん。ありがとう
思いがけないサプライズに、
「しかし俺もけっこう作ったけど、みんなもずいぶん買ってきたなご飯」
「そりゃ全員分の明日の朝飯も兼ねてんだからよ。いや朝は起きねぇか、昼飯か」
「全員って何!?」
「やった!泊まりだぁ!」
大声を出す
「俺ベッド1個もーらい」
「だから
「学習しねぇな
「増やしたけど…簡易のやつ…」
「あ、ほんと?やったぁ」
「良かったすね
「いや
「
「
「
「じゃあドンマイだね。
「え、話終わり!?」
穏やかに夜へと包まれていく九龍の中、賑やかな出迎えと
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます