喧嘩商売
ステゴロと獅子山
喧嘩商売1
「反省しています。嘘ではありません、本当です。調子に乗りました。心から謝りますごめんなさい」
【東風】の店内で、地べたに正座をした
「オメェたいがいにしろやクソ眼鏡。
【東風】にあった酒を片っ端から開けて呑みつつ
話は昨日の夜に
いつもの如く【宵城】で遊んでいた
内容は、相手は貧困街のシマ、こちらは【東風】と【宵城】を賭けて勝負しようというもの。もちろん
騒ぎに気付き
「死ぬなら1人で死ねやボケカス。人巻き込んでんじゃねぇぞ」
「仰るとおりですが…何卒ご容赦を…」
「【東風】とテメェの命でカタつけてこい」
「そこをなんとか…後生ですから…」
「
「ん?そうだね…
「助ける方向性!!」
埋めるのなら確かに他の山の方がいいだろう。
だがこの
それになんだかんだで【東風】はみんなの溜まり場だ、ここが無くなれば
唯一この
手柄といえども、こっちは【宵城】を出しているのだから当然といえば当然である。これでも九龍一の大型風俗店だ。
正直、引き渡すのが【東風】だけでは成り立たない交渉だっただろう。
今回仕掛けてきたのは【獣幇】という名のマフィアグループ。九龍での賭博地下格闘技等を開催したりしている喧嘩好きで有名な集団、そのシマは割合と大きい。
まぁ、正直それはそれで、悪くない。そんな打算もあった。
「とにかく」
言って
「仕方ねぇ。
「なんや、めずらしくヤル気やん」
「【獣幇】のシマ欲しいんでしょ」
驚く
勝負の内容は喧嘩好きな【獣幇】らしいシンプルなもの。明日18時に龍津路の突き当りの広場で3対3のステゴロ、引き分けは無しで2勝した方の勝ち。
「で、
「え?」
「ちょぉ待て待て」
なんの前触れもなく名前を呼ばれた2人が揃って声をあげる。特に焦っているのは、腕っぷしに全くと言っていいほど自信の無い
「なんで俺なん、非戦闘員代表やんか」
「
そう答える
「
「用事があるって断られました…」
倒れたまま膝を抱える
若干同情する
「
「なんでシレッと俺が最後なのよ」
「
「弱い人から順番に出てくるってこと?じゃあ最初から
「ストレートで勝っても面白くねぇのよ。一方的過ぎたら不満が出るだろ。先鋒で
なるほど、と頷く
「そこそこ頑張って負けるってなんやねん」
「言った通りだよ、ほどよくボコされて負けろ」
「嫌やろ!!なんでボコされなあかんねん!!」
「じゃあ避けたら?別に殴られなくたって、うまくみんなを楽しませればいいってことでしょ?」
エンターテイメントを即座に理解した
「ていうか、俺達の2勝は確定なんだね」
「あぁ?ったりめーだろ、どうやったら俺とお前が負けんだよ」
「だって【獣幇】ってめちゃめちゃ武闘派じゃん、ボスにゴリラみたいなの出てきたらどうするの」
「組員でもねぇ下っ端の半グレ程度じゃタカが知れてんだろ。出てこねーよ。出てきても、勝て。あと大将戦なんだからイイ感じの試合しろよな?観客を沸かせろ」
「すごい無茶振りじゃない?」
乾いた笑顔を浮かべる
「つーことで、明日の夕方また【東風】に集合な。いい酒用意しとけよ」
店中の酒をスッカラカンにしておいて、明日も酒をせびるなんて…身から出た錆とはいえ【獣幇】の前に
空瓶を蹴倒しながら店を出る
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