一縷と歩一歩
青松落色9
「ん、頼むわ。ありがとな、ほんま助かる…うん。よろしくな」
通話を終えベランダから部屋に戻った
ここまでの流れをかいつまんで説明し、あらかたの経緯が伝わった所にタイミングよくかかってきた
「
「そっか。なら安心だね」
「で、どうすんだよこっから」
頬杖をついた
そもそも、
そうかも知れないというだけだ。全く違うかも知れないしはたまた予想通りかも知れないが…とにかく推測の域を出ない。
現状では特に打つ手が無いのだ。
落ち込む
「ねぇ
「あ?なんだそれロリコンかよお前」
「そうじゃないよ。とにかくどうだった?」
「まぁ…イイ線いってた」
質問の意図をはかりかねた
「今までと被害者のタイプが違うよね。
つまりある程度成長していてなおかつ外見が麗しい子供…そして、そういった商品を買い取ってくれる買い取り先があるということ。おそらく高値で。
値段が変わらないのであればこれまでと同じく適当な子供を狙って適当に売ればいい。
わざわざターゲットを選び手のかかる仕入れをするなら、その手間を差し引いてもかなり金になる取引先があると考えるのが妥当だ。
「だとすると、行き先は
「夜総会か
夜総会は連れ出し型のキャバクラで、
とはいえ子供は働かせられないしましてや人身売買で入手したとなると店内に並べるのは難しい。なので‘お得意様向けの裏メニュー’、といったところだろう。
灰皿のフチをコンコンとパイプで叩きながら
「でもよ、
「別にいいでしょ、売れてお金が入ったあとなら。逃げられたのは買った側の管理不足なんだから」
なんなら逃げてくれたほうがもう1回捕まえてまた他の場所に売れるしね、とサラッと発言する
お前発想がヤクザだなとの
「で、
「え、
「俺も武器の運搬で船使うからね。一応港の情報はちょこちょこ入るよ」
「その九龍灣のが怪しいっつーわけ?」
「
かも知れない、を繋ぎ合わせただけの推論。そうだという確証は1つもない。
けれど。
「行きます」
何も無くてもいい。欲を言えば、間違いならもっといい。
だがもしも、もしもそこで
「じゃあ行こうか」
「あっ、いやええですよ!そこまで迷惑はかけられへんし。俺1人で行きます」
腰をあげようとする
「は?馬鹿か
「話にならへんことないやろ」
「ならねぇって。死ぬぜ。死んでもいいなら1人で行きゃいーけど」
言い方には容赦がないが
「えっと、そうじゃなくて…どの船だか教えなきゃいけないし俺も行くよ。ね?」
「甘やかしやがって。はっきり言えよ、お前じゃぁどうしようもねぇから死ぬぞって」
「別にまだ何かあるって決まってるわけじゃないんだから」
「つーことは、何かあったら死ぬって思ってんじゃねーか。本音出てんぞ?」
「揚げ足取るねほんと」
2人のやり取りを見ながら、
────優しい。そう、優しいのだ。
そして、だから‘わからない’んだろう。
「とにかく、行こうか」
夜の九龍へと踏み出す後ろで、気ぃ付けろよ、という
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