第5話 秘密と眷属化1号

 興奮状態で、俺にスカートの中身を見せた後。

 何か、自分でまためくって、確認をしている。

 なんだろう。

 まあなにか、納得したようだから良いか。


 今現在相変わらず、テーブルを挟んで、向かいに明智君が悠々と一人で座り。

 僕たちは、3人で座っている。


 時たま、明智君が、ソファーから、ズリ転けているのはなんだろう。


「ねえ。もう一人の変態先輩が、パンツを覗こうと必死だから、気を付けなよ」

 そんな忠告が、背中越しにされている。

 なるほど。あのズリ転けは、わざとなのか。


「明智君側に行けば、ぱんつ見られないよ」

 軽い気持ちで、言ってみる。

「変態。隣。やだ」

 なぜか、片言で花蓮から、返事が聞こえてくる。


 で、でだ。俺の耳元にそっと、息を吹きかけながら、ささやくくみちゃん。

「向こう側? もっと見たいの? それなら、どこかでゆっくりしましょ。無論二人っきりで。ふっ」

 この子童顔で、かわいい感じなのに。

 言動がなんだか過激? 見た目は、花蓮ちゃんの方が派手そうなのに。女の子は、不思議だ。


「はっはは。次何歌う」

 ごまかすために、皆に聞く。

 俺もそんなに、馬鹿みたいに鈍感じゃ無いし、難聴でも無い。

 さっきから、心臓がドキドキだよ。


 その時、俺の背中側。

 首すじ辺りで、何かがはじけた音がする。


「あれ?」

「うん? どうした。あっ血が出てるじゃ無いか。なにか、引っかけたのか?」

 そう言いながら、ティッシュを取り出し、彼女の人差し指。指先をぎゅっと圧迫する。


「いたっ」

「ごめんね。圧迫しないと、血が止まらないから」

「いえ。ありがとうございます。私たち体操をしているから、痛みにはある程度強いはずなんだけど」

「そうなんだ」

「中学校の時にも、手をつき損ねて、ペきっと指が2本折れたし。鉄棒で落ちても結構簡単に折れますよ」

「うわ。結構危険だね」


 あれ? 先輩が何かした?

 私の方を、ちょっとでも向いてもらおうと、

 ずるをするため。針を刺そうと思った。

 だけど、私の針がはじけた。

 それに、今現在もじくじくと、何かが、浸食してきている。ような感じがする。

「あれ。血が止まらないな」

 先輩がそう言って、パクッと指をくわえられた。

 ぎゃーあ。はずい。

 ※物語上の演出です。相互での感染症、出血の場合原因が何か毒針であった場合。相互で影響がありますので、よい子はまねしないでください。


 あっ。意識が集中する。

 指の周りで、先輩んっ。舌がうねうねと。気持ちが良い。

 なにかが、頭に問いかけてくる。


 絶対的な強者? 先輩が?

 受け入れるか否か?


 はい。受け入れます。

 あっ。私の能力と何かが混じる。

 そうだったんだ。

 そうよね。強者の子孫は残さないといけないよね。

 その瞬間。感覚が鋭くなり。指からの刺激が……。

「あっ。だめっっ」


 なんだ? くみちゃんの指をくわえていると、何か流れ込んでくる。

 従えた?

 あーそうか。能力者だったのか。


 飼い猫が死んだときに、針で刺した対象を操る能力ね。

 だだ俺を刺そうとしたのは、好きになってほしい? から。

 強硬手段。

 『私の方を、ちょっとでも向いて(好きになって)もらおうかな、

 ずる(心の操作)をするため。針を刺そうと思った。

 だけど、私の針がはじけた』

 そんな、気持ちが流れてくる。

 さっきのスカート内部確認は、勢いで見せたものの、汚れとか、はみ出しが心配になった?

 あーこれ以上。見ちゃ駄目だ。

 口を離す。


 すると彼女は、ぐったりして、うっすら涙目。

 もたれかかってきた後、こっちを見上げてくる。すんごくエロい。

「どうしたの? 大丈夫?」

「大丈夫です。いっちゃっただけなので」

「はい?」

 そう聞き返すと、耳元に口を寄せ。

「いっちゃっただけです。古文なら、気をやったでしょうか? 先輩。いえ。総さん。これから、なんだろ。部下? 僕(しもべ)?として、よろしくお願いします」

 そう言って、ほっぺにキスをされた。


 背中側から、声が聞こえる。

「くみ。何してんの。あんたわぁ」

「あっ。ちょっと怪我して、先輩に見てもらっていただけ」

「ホントに? 本当ですか。先輩」

 俺は頷く。


「全く。油断も隙もない」

 引きつっているのは、明智君。

 歌が終わり、モニターから目を離すと、目前で、久美ちゃんの指を、俺がくわえていて、くみちゃんは、どう見てもビクビクとしていた。

 それも、エロい方向で。


 思わず目線を下げ、俺が何かしているかと思ったが、そうでも無い。

 盛大に、クエスチョンマークが浮かんだようだ。


 血のついた、ティッシュを丸めて。

 指先を確認する。

「止まったようだな。良かった」

 そう言うと、俺からそれを取り上げ、花蓮にみせる。


「ほら。血」

「見せないで。分かったわよ。次いきまーす」

 また。元気に歌い始める。


「せっ。総さん。花蓮も総さんに、惹かれているということは、能力を持っているかもしれません。気を付けて」

「ひっ」

 今度は、離れ際に。耳を舐められた。


 調子が狂うが、意識をすると、くみとの繋がりを感じる。

 どうやら俺は、彼女を取り込んだようだ。


 さて、花蓮か。力持っているのなら、どんな力だろう。

 今現在彼女は、足を踏ん張り。『アンコ椿は恋の花』を歌っている。

 非常に力強い。


 ああこれ、16歳の恋の歌なのか?

 でも、『366日』とかAimer様の『カタオモイ』や『Pretender』でも無く。

 何でこれなんだろう。


 ああ、『umbrella』もそうかな。

 次歌おう。


 そうして、この曲の定番。

 出だしで、盛大に音を外し自爆する。

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