第109話 ゲート封鎖
◇◇◇◇◇
龍太郎の謹慎期間はまだ続いている。
龍太郎:「暇だー!
いつまで謹慎させるんだよ!」
ゴロゴロ〜!ゴロゴロ〜!
美紅:「あんた、うるさいわよ。」
龍太郎:「俺だけ暇なんだよ!
お前たちはやることあっていいよな!」
カレン:「ここぞとばかりに骨男社長が予定を入れちゃったのよ。」
龍太郎の謹慎期間に合わせて、カレンたちが当分ゲートに潜らないということを知って、骨男社長がファンクラブ用の写真撮影やイベントの日程を固めて押さえたのだった。
さらに、華那たち4人も骨男の説得で専属マネジメント契約をしたらしく、同じ様に写真撮影やイベントに参加することになったのだとか。
龍太郎は消息不明になっているので、当然お声は掛からなかった。
消息不明でなくても、声は掛からなかったとは思うが……。
なので、一人だけ筋トレ三昧の日々を過ごしていたが、そればっかりでは流石に飽きて来たという訳だ。
華那:「私たちもついにファンクラブだよ。」
玲奈:「写真撮影なんて、アイドルみたいで嬉しいね!」
詩音:「今日の撮影は迷宮HAPPYも一緒なんだって!」
亜実花:「本物だよね?すご〜い!
絶対、可愛いよね?」
玲奈:「うんうん。絶対に可愛い。」
華那:「なんか、ワクワクするね。」
詩音:「華那ちゃん、好きだもんね。」
華那:「好きじゃない人いないでしょ?」
玲奈:「うんうん。曲がまたいいんだよね!」
先輩4人組も妙にはしゃいでるし……。
骨男は本当にやり手だな。
俺も絶対にバズるような気がする。
先生も嬉しいぞ。
でも、俺だけ暇なんだよ!
あーあ、隠密スキルがあればなぁ……。
あれは合成失敗だったよなぁ……。
と言ってる間にみんな出かけて行ったし。
あれから、野神さんからは、いろいろな情報がメールで来ている。
けど、いつまで謹慎するかという情報は、一向に連絡がない。
その情報が一番欲しいんだけど……。
野神さん情報によると、アメリカではすでにブルーキャッスルを発見して、ダンジョン内部に突入しているらしい。
そのメインのクランはブルーブラッズというクランなのだが、その中には臨時登録した喜多川兄弟も含まれているのだとか。
アメリカに渡ったという噂は聞いてたけど、そんなことが可能なのかと驚いた。
日本ではカーバンクルが調査から一旦帰って来たが、やはり進展は無かったらしい。
ただ、黄色く光るやつの情報はインプットしたので、今後は進展があるかもしれない。
ただし、無茶なことはしない様に釘を刺しておいたらしいから、ひとまず安心。
イエローキャッスルについては、ブルーノが向かっているが、状況はよくわからない。
ただ、支配スキルは解除されていないので、無事なんだろうとは思う。
こちらに関しては、俺が出来ることは何もない。彼の無事を祈るだけだ。
あと、この前、三上さんに渡したモンスターコアについての調査結果も来ていた。
それによると一般的なモンスターコアとは比較できないほどのエネルギー密度が確認されたらしく、現在の技術ではそれを取り出して活用する方法がないらしい。
要するに、今そのエネルギーを取り出そうとすると、間違いなく事故が発生するらしいとのこと。
よって、買取金額も保留ということで、それに対しての謝罪が文面に含まれていた。
まあ、お金についてはまったく問題ない。
先日の臨時収入のほか、バタフライコーポレーションからのオーナー収入と協会からの副会長収入が定期的に入ってくるからだ。
このまま、エクスプローラを辞めたとしても、生活に困ることはないだろうが、いまさらエクスプローラを辞めたとしても、他にやりたいこともないしね。
野神さんの話を聞いて、とにかくイエローキャッスルに行くことを次の目標にした。
そして、希望の門という新しいキーワードもロマンがあるよなぁ。
可能なら、自分で見てみたいと思う。
そのために早くレベルを上げたいんだけど、早くなんとかならないかなぁ……。
あ!それと、ちなみに今から3日前に横浜ゲートが封鎖されたらしいぞ。
川崎ブレイクとは無関係らしいが、一体何が起こってるんだか。
横浜管轄のエクスプローラは、その日以降、潜ることを禁止されていて、近日中に全員が渋谷管轄に移管されるとのこと。
そのおかげで渋谷管轄のエクスプローラが2倍になるらしい。
まあ、2倍になったところで混雑するということもないから、別に影響はないんだけど、普通ならその人員を各管轄に割り振ってもいいはずだとカレンは言ってた。
何か協会側の思惑がある様な気がすると。
◇◇◇◇◇
今から遡ること3日前。
探検者協会本部第一会議室にて。
川崎ブレイクが終息して間もない頃。
ここでは、工藤、野神、三上の3人が緊急会議を開催していた。
乃亜が他の二人に対して、研究所から持って来た調査結果の説明をしている。
三上:「で、このデータを見て分かるわよね?
横浜ゲートはそろそろ危ないわよ。」
野神:「そうね。あとどれくらいなの?」
三上:「他の国の情報から考えると、たぶん、あと数週間ってところね。
ただし、ここ最近の話であまり例が少なくって読めない部分も多いのよ。」
野神:「じゃあ、急いだ方がいいってこと?」
三上:「その判断は任せるわ。
あまりに早くから封鎖をして、その状態で長く放置するのも、その他の影響がわからないから難しいのよ。」
野神:「分かったわ。工藤はどう思う?」
工藤:「俺か?うーん。よし。封鎖だ。」
野神:「相変わらず、決断が早いわね。」
工藤:「ああ、こういうのは早いほうがいい。
協会としてはエクスプローラ優先だ。
俺は防衛省に話を通してくる。
横浜ゲートの周辺に自衛隊の手配をさせる。
エクスプローラへの周知は任せるぞ。」
野神:「あなたって会長に向いてるわよね。
そう思うでしょ?ねぇ、乃亜?」
三上:「そうね。普段は馬鹿なんだけどね。」
工藤:「おい!それって褒めてないだろ?」
三上:「あら。褒め言葉よ。
こういう時の判断の早さは尊敬するわ。」
工藤:「お、おぅ。そうか。
じゃあ、そっちは頼んだぞ!」
バタン!
工藤は、ちょっと嬉しそうな顔をして、急いで会議室を出て行った。
何を隠そう、実は、若かりし頃から、工藤は三上に告白して振られたこと、数十回。
最後の告白の時には、一方的に告白をして、断るなら返事は要らないと訳のわからないことを言って、一方的に回答保留の状態をキープしている。
実に実直で一途な性格をしているのだ。
ただし、それなりに夜の街で遊んでいたりもするのだが……。
そういう訳で、未だに独身を貫いている。
野神:「乃亜。工藤、どうするの?」
三上:「ふふふ。プライベートの話は秘密よ。
それに分かってるでしょ?」
野神:「そうよね。お互い困ったものね。」
◇◇◇◇◇
時は戻って、龍太郎のいるクランハウス。
龍太郎:「あ、野神さんだ。」
龍太郎のスマホに紗英からの着信が。
プルプル、ガチャ。
龍太郎:「野神さん。どうした?」
野神:『天堂くん。横浜ゲートが消滅したわ。
予想よりだいぶ早かったせいで、数名のエクスプローラがゲート内に閉じ込められてしまったの。』
龍太郎:「え?ゲート消滅!?
川崎ブレイクみたいな感じか?」
野神:『ええ、そうよ。完全に消滅したわ。
魔素減少の兆候があったから、3日前にゲートを封鎖したんだけれど、意外に早くて間に合わなかったみたいなの。
それでね。あなたの言う通り、ゲート内が地続きなら、まだ、救出の可能性があるわよね?
だから、救出に向かいたいのよ。
ただ、あなたにしか出来ないと思うの。』
龍太郎:「ああ、わかった。
退屈だったから、ちょうど良かったよ。」
野神:『少し早くなったけど、横浜ゲート消滅の情報と同時に、あなたが異世界から帰還した情報を公表します。
もう一度、電話するから少し待ってて。
その時、詳しく話するから。』
龍太郎:「ああ、了解した。」
野神:『ありがとう。じゃあ、後で。』
プツッ!
ふふふ。よっしゃー!謹慎解除じゃー!
やっと、自由になれるぜ!
謹慎解除に浮かれて不謹慎なやつ発見!
そのあと、横浜ゲート消滅と天堂無事帰還のニュースが緊急速報として全世界に向けて公表された。
◇◇◇◇◇
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