第67話 大総選挙を終えて
◇◇◇◇◇
一大イベントの大総選挙も終わり、龍太郎が第一将持国天の称号を手にするという予想外の結果で幕を閉じる。
その会場で龍太郎は野神紗英に声をかけられて、強制連行されることに。
カレン:「あの。野神さん。私も一緒に行っていいですか?」
野神:「夢咲さんね。第二柱女神おめでとう。
天堂くんがいいならいいわよ。」
龍太郎:「ん?俺?ああ、もちろんいいけど。」
野神:「じゃあ、2人ともついて来て!」
琴音:「あ!カレンちゃん。またね!
龍くん!また連絡するから。
紗英さん。ここで失礼しますね。」
龍太郎:「ああ。わかった。」
カレン:「琴音さん。ありがとうございます。」
野神:「はい。お疲れ様。例の件、よろしくね。」
琴音はそう言って去っていった。
龍太郎とカレンは、野神と一緒にエレベータを昇り、最上階の副会長室に入った。
最上階!?副会長室って!?
野神:「ふたりとも座って。」
野神は二人にコーヒーを出して、自分も二人の前の席に座る。
何?こんなところで何の用?
野神:「改めて、第一将持国天おめでとう。
ここに呼んだのは、第一将になった天堂くんの特典についてよ。」
龍太郎:「野神さんって副会長だったんだな。
偉いさんだとは思ってたけど。」
野神:「ふふふ。ええ、そうよ。意外だった?」
カレン:「ちょっと!天堂くん。失礼だよ。」
野神:「いいのよ。私は協会が出来てからの古株ってこと。仕事は雑用ばかりだから(笑)」
龍太郎:「ふーん。で、特典って何ですか?」
野神:「特典というのはね。
第一将になった場合に所属するクランがAランクに昇格するのよ。」
龍太郎:「はぁ。でも俺クランに所属してないから。」
野神:「ええ、そうなのよ。想定外。
こんなことが起きるなんて思わないから。
で、夢咲さんのクランには、まだ戻らないのよね?」
龍太郎:「ああ。まだだな。
って、なんで知ってるの?」
野神:「ふふふ。宝生くんとのやりとりかしら?」
龍太郎:「うっ!そういうことか。見てたのか?」
野神:「実際には見ていないけど、あとで確認したわ。」
龍太郎:「ふーん。カメラか。」
野神:「そう。協会の前での出来事ですからね。
で、天堂くんは新しくクランを作るしかないってことね。
設立と同時にAランククランってことになるわ。」
龍太郎:「そうなのか。一人でもいいのか?」
野神:「それはダメね。」
龍太郎:「だったらいいよ。やめとく。」
野神:「そういう訳にはいかないのよね。
他に誘うメンバーはいないの?」
龍太郎:「夢咲さん以外だよな。
夢咲さんはいいのか?」
カレン:「もちろんいいわよ。
あとで合流するから。
Aランクだよ。勿体無いじゃん。
でも、メンバーによるけどね。」
龍太郎:「そうだな。じゃあ、そうするか。
でも、メンバーって言っても思いつくのは、あいつらしかいないからな。」
カレン:「あいつらって?」
龍太郎:「ダイアモンズのメンバーだよ。」
カレン:「ああ。そういうこと。
それなら問題ないよ。」
龍太郎:「なら、ちょっと聞いてみるか。
野神さん。ちょっと待ってくれる?」
野神:「ええ、いいですよ。」
龍太郎は、電話をかけた。
プルプル!ガチャ!
華那:『あ!先生!おめでとう!』
龍太郎:「ああ、ちょっといいか?」
華那:『ん?何?』
龍太郎:「俺がクラン設立したら、入るか?」
華那:『もちろん入る!!ちょっと待っててね!』
即答かよ!
なんか、受話器の向こうが騒がしい。
揉めてるかもな。
華那:『あ、ごめん。4人でもいいよね?』
龍太郎:「ああ。そのつもりだったからな。」
華那:『やった!ありがと!』
龍太郎:「なら、ちょっとこのまま待っててくれ。」
華那:『うん。わかった。』
龍太郎:「野神さん。メンバー決まりましたよ。』
野神:「そう。ダイアモンズのメンバーね。
あの子達もちょっと心配だったから、ちょうど良かったわ。
全員入るってことでいいのかしら?」
龍太郎:「ああ。そうみたい。」
野神:「じゃあ、彼女たちもここに呼んでくれる?」
龍太郎:「ああ、わかった。」
龍太郎:「百枝さん。今から来てくれるか?」
華那:『うん。どこに行けばいい?』
龍太郎:「協会本部最上階の副会長室。」
華那:『えー!?行っていいの?』
龍太郎:「ああ、副会長がお呼びだからな。」
華那:『うへー!緊張する〜!』
いや、こいつら絶対緊張しないだろ。
龍太郎:「協会に着いたら、受付に聞いてくれって。」
華那:『うん。ダッシュで行くよ!待ってて!』
龍太郎:「ああ。頼むよ。じゃあ、あとで。」
ガチャ!
龍太郎:「今から来るって。」
野神:「じゃあ、今日中に登録出来るわね。
クランの名前を決めてちょうだい。」
龍太郎:「そっか。何がいいかな?
夢咲さん。なんかある?」
カレン:「あるよ。ドラゴンボーーーーーーール!」
龍太郎:「またそれか!?それ絶対ダメだから!!」
野神:「ふふふ。この
カレン:「あ!すいません……。
あのとき、私たち登録課の受付で。」
野神:「そうね。あのときの子がこんなになるなんてね。面白いわね。
で、どうする?クラン名。」
龍太郎:「うーん。どうしよう?
なんでもいいんだけど。
もうダイアモンズでもいいか?」
野神:「それはダメね。すでに登録されてるから。」
龍太郎:「うーん。じゃあ、ネオ・ダイアモンズは?」
野神:「それならいいけど、そんな決め方でいいの?」
龍太郎:「いい。どうせ、思いつかないし。
夢咲さん、いい?」
カレン:「うん。私はいいよ。」
龍太郎:「じゃあ、決まりな。
野神さん。それでお願いします。」
野神:「はい。代表は天堂くんでいいわね?
ところで、天堂くん。
最近、すごくランキング上がってるわよね?
この上がり方って、尋常じゃないんだけど。
何か秘密があるわよね?」
龍太郎:「え?」
鋭い!バレてる?
龍太郎は、カレンと顔を見合わせてどうしよう?という顔をしている。
カレンもわからないといった表情だ。
野神:「ふふふ。図星のようね。
ちょっと調べさせてもらったんだけど、天堂くんが天啓を受けた2年前の誕生日に協会に問い合わせの電話してるわよね?
そのときに会話のメモを確認したわ。
あなたの固有超能が、不明(このスキルは現在使われておりません)だったそうね。」
龍太郎:「……。」
野神:「ここからは私の予想だけど、あなたの固有超能が最近、なんらかのきっかけで使用可能になったんじゃないかしら?」
うへー!鋭どすぎる!正解です!
龍太郎:「野神さん……。
もし、その固有超能がヤバいスキルだったら、俺どうなりますか?」
野神:「それは聞いてみないとわからないわ。」
龍太郎:「はぁ……。」
うげー!墓場案件が、ついにバレちまった!
終わった。終わったよ。俺の人生。
野神:「やっぱり、私の予想が当たってたのかしら?
でも、心配しないでいいわよ。
最近、源さんとお千代さんとも話をしたんだけど、天堂くんのことは天然のバカだけど、悪いことをする子じゃないって聞いてるからね。」
龍太郎:「ははは。そうですか……。」
源さんとお千代さん。
いい人だったな。
ここでカレンが口を開いた。
カレン:「あのー、このことは秘密にしておいてもらえませんか?
天堂くん。野神さんは悪い人じゃないよ。」
え?豪運さんがそう言ってるの?
野神:「天堂くん。夢咲さん。
これは私が悪かったわね。
ちょっと、天堂くんに興味が湧いたから、個人的に調べさせてもらったのよ。
この件は協会とは関係ないから、もちろん秘密にするわよ。
でも、ますます興味が湧いて来たわ。」
カレン:「良かった〜!
天堂くん!野神さんは信用できるから心配しなくていいよ。」
龍太郎:「そうなのか?ふぅ。助かった〜!」
野神:「ふふふ。天堂くんと夢咲さんはすごく信頼し合ってるのね。
もしかして、もう付き合ってるのかしら?」
龍太郎:「ぐはっ!違いますから!」
その冗談、やめてくれ〜!
夢咲さんに怒られるわ!
カレン:「……まだです。」
ちょっと!夢咲さん!
まだですって表現おかしいから〜!
ん?まだです?どういう意味?
カーバンクルでしょ?
野神:「あら、そう。まだなのね。
で、天堂くんは固有超能がどうなったの?
夢咲さんは知ってるの?」
カレン:「はい、知ってます。
でも、秘密です。」
野神:「ふふふ。仲がいいわね。
なんとなく、二人の関係がわかったかも。
夢咲さん、苦労してるわね。」
コンコン!
秘書:『副会長!ダイアモンズの方たちが来ましたよ。入っていいですか?』
野神:「あら、もう来たわね。
天堂くん。悪いようにはしないから、今度あなたの秘密を教えてくれるかしら?
それに、私が協力できることもあると思うわよ。これでも副会長ですからね。」
龍太郎:「ああ、ありがとう。
野神さんは信用するよ。」
野神:「ふふふ。嬉しいわ。」
ふぅ。一時はどうなることかと思ったけど、最悪の事態は免れた。
それに、夢咲さんの豪運じゃなくても、この人は信用できそうだ。
これは味方になってもらった方がいいかもしれない。
野神:「いいわよ!入ってもらって!」
ガチャ!
野神さんの一声で副会長室のドアが開くとダイアモンズの4人と呼んでもいないのに早乙女さんが、部屋になだれ込んで来た。
華那:「失礼します!わぁ、すごい広ーい!」
玲奈:「わぁ!ほんと!すごーい!
あ!先生!カレンちゃん!」
詩音:「ほんとだ!先生いるじゃん!」
亜実花:「わーい!副会長室だ!」
美紅:「ちょっと!あんたたち!騒がないでよ!」
こいつら……。緊張はどこ行った?
しかも、なんで早乙女さんまで!
お前、呼んでねぇし!
◇◇◇◇◇
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