第27話 さあ、どうする?

 ◇◇◇◇◇


 龍太郎、痛恨のピンチ!

 墓場案件がバレてしまった。


 もうこれは俺一人では決められんぞ!

 最後の頼みの綱、アイちゃん発動!


龍太郎:『アイちゃん!』


AI:〈はいはーい。これは困ったね。〉


龍太郎:『どうしよう!?

 墓場案件のピンチなんだけど!』


AI:〈そうだね。もう、浄化は使えることは言ったほうがいいかもね。

 その上でやり過ごすか、もしくは秘密にしてもらうように2人にお願いするしかないんじゃないかな?

 あまり、詳しいことは言わないで納得してもらえれば、それで良いと思うけど。〉


龍太郎:『うーん、そうか。言っちゃうか。』


AI:〈聞いてる感じだと、2人とも信用しても良いんじゃないかな?

 豪運娘は良いとして、封印娘の方はクラン入りを認めるとか、何か条件をつけて秘密を守れるようにした方がいいかもね。〉


龍太郎:『なるほど、次に条件だな。

 ふむふむ。さすが、アイちゃんだな。

 うん、それで行ってみるよ。サンキュ!』


AI:〈はいはーい。〉


 本当に大丈夫なのか?龍太郎!



龍太郎:「夢咲さん!早乙女さん!

 黙っていて申し訳ございませんでした。

 これは秘密だったんですが、実は浄化というものが使えたりしますけれど、お二人にもおかけさせていだだきましょうか?」


 もう、お背中でもお流ししましょうか?

 のノリで、すごく低姿勢な龍太郎。

 かなり、口調がおかしい。逆に怪しさ満点。


カレン:「やっぱり、そうなの?」

美紅:「すんなり、認めたわね。」


龍太郎:「はい!その通りでございますよ!

 じゃあ、かけさせていただきますよ!」


 右、浄化!

 もういっちょ!

 左、浄化!


カレン:「うわー!気持ちいい!」

美紅:「ほんとー!気持ちいい!」


 カレンと美紅も、汚れスッキリ、頭もスッキリの浄化効果にかなりご満悦の様子。

 思った以上に効果バツグンだ!


 それを見て、これはいける!

 と勘違い龍太郎。


龍太郎:「さあ、皆さん!スッキリしたところで、そろそろ帰りましょうか?」


 振り返って、一人普通に帰ろうとする龍太郎をカレンが止めた!


カレン:「天堂くん!ちょっと待って!」


龍太郎:「え?な、何?」


 慌てまくる龍太郎。

 ジャングルパニック!


カレン:「何か他に言うことあるんじゃない?」


 ヒュー……。ヒュー……。

 吹けない口笛を吹いて、知らんぷりのフリをする龍太郎。下手くそすぎるぞ!

 これについては、明らかに何かを隠してる!

 と思わずにはいられないカレンであった。


 さらに追い討ちをかけるように、龍太郎が変なことを喋り出した。


龍太郎:「あ!そうそう!皆さん!

 言い忘れてましたよ!

 俺としては、もう早乙女さんはクランに入るべきと思うのだがどうだろうか?

 もう、一緒に戦った仲間だからな。

 ははは、めでたいな。めでたいな。」


 それを聞いていたアイちゃんは、さっきの話から、ここまで変な進行になるとは!?

 と、龍太郎の話下手さを甘く見ていた!

 と、後悔したが、時すでに遅し。


 ただし、この展開については、予想外に美紅が思いっきり飛びついて乗っかって来た!


美紅:「え?本当に!いいの?本当に!

 もう!あんた、わかってるじゃない!

 意外に良いやつなのかもね?

 そうよ!一緒に戦ったらもうそれは仲間よ!

 うんうん。わかるー!

 カレンさん!

 そういうことなんで、私もゴッドブレスユー!に入れてください!

 お願いします!」


カレン:「うーん……そうだね。

 天堂くんが良いなら、別に断る理由はないからね。

 じゃあ!ようこそ、ゴッドブレスユー!へ。」


美紅:「わーーーーい!嬉しい!

 カレンさん!ありがとうございます!

 あんたもありがとね!

 やったーーー!るんるん!」


 美紅は、カレンに抱きついて、ものすごく飛び跳ねて喜んでる。


 よし!うまくいったぞ!


 龍太郎は、美紅が仲間になったことで、作戦は大成功した!と、勘違いしていた。


 ただ、カレンも拍子抜けしたのか、美紅が歓喜のダンスをして喜んでる姿を見ていると、龍太郎のことは、また今度でいいか?と、意外なことに龍太郎が作戦大成功の結果になってしまった。


カレン:「じゃあ、そろそろ帰ろっか?」


龍太郎:「了解!」

美紅:「承知です!」


 3人は、三者三様の想いの中で、ゲートに向かって走っていった。



 ◇◇◇◇◇



 クランハウスDー318号室。


 3人はゲートを出て、買い取りセンターに寄ってコアの買い取り、探検者協会本部2階の登録課に寄ってクランのメンバー追加登録を終えて、クランハウスに戻って来ていた。


 ちなみに、登録課での美紅のソワソワ感は半端なかった。

 ちょっと涙目になってた。

 よっぽど嬉しかったんだな。


 3人は椅子に座って、目の前の机には3つのインスタントコーヒーが並んでいる。


カレン:「じゃあ、改めて。

 美紅ちゃん!私たちのクラン、ゴッドブレスユー!へようこそ!

 今日から美紅ちゃんもメンバーだからね。

 よろしくお願いします。」


龍太郎:「ああ、よろしくな!」


美紅:「よろしくお願いします!」


カレン:「じゃあ、新しい門出に乾杯!」

2人:「「乾杯!!」」



カレン:「じゃあ、さっそく結果を見てみましょう!」


 カレンは部屋の端末を叩き出した。


〈クラン:検索結果〉


【クラン】ゴッドブレスユー!

【登録日】2050年9月12日

【ランク】D

【代 表】夢咲カレン(D:3000)

【メンバ】早乙女美紅(D:2790)

【メンバ】天堂龍太郎(D:3199)


カレン:「美紅ちゃん。もう載ってるよ!

 あれ?表示がちょっと変わってるね?」


美紅:「わー!載ってるー!やったー!」


龍太郎:「ん?どういうこと?これ順番おかしくね?」


 代表のカレンはともかく、メンバーの順番が美紅が先に来ている。


カレン:「あー、なるほど!

 メンバー個人のランキング表示が追加されたんで、ランキング順にソートされてるんじゃないかな?」


美紅:「あー、なるほど!

 これってクラン内の序列を表しているに違いないですよ!

 あんたと私の序列ってことよ!

 私がカレンさんに最も近い存在ってこと。」


龍太郎:「あー、なるほど!っておい!

 なぜ、俺の序列が早乙女さんの下なんだ!

 これだと俺はずっと底辺にへばりつくぞ!

 不要な仕様変更しやがって!

 どうでもいいけど、なんか腹立つなぁ。」


カレン:「天堂くん!ランキング1つ上がってるよ!」


龍太郎:「やった!ってなるかー!

 全然、嬉しくねぇ!」


美紅:「まあまあ。クランの序列も決まったことだし、あんたは私の次ってことよね。」


龍太郎:「うっせぇ!黙れ!ちびっ子!」


美紅:「何よ!変態!特徴なし!女の敵!」


龍太郎:「なんで〜!?そこまで言う?」


 またまた、わちゃわちゃに突入した新生ゴッドブレスユー!

 仲が良いのか、悪いのか?



 ◇◇◇◇◇



龍太郎:「はあ、食った!」

カレン:「うん、美味しかったね!」

美紅:「ご馳走様でした!」


 今日は早めに切り上げたので、早乙女さんの歓迎会を兼ねて、3人で渋谷の焼肉屋さんに来ていた。

 なんと、クランの運営補助金からお会計。

 3人は遠慮なくお腹いっぱい食べて、満足して店を出た。


龍太郎:「本当に良いのか?」


カレン:「まあ、これくらい、いいんじゃないかな?

 補助金って決まった金額が支給されるし、使い道も申告する必要ないしね。

 この前のモンブランもそうだよね?」


龍太郎:「う!そういえば……。」


美紅:「モンブランってなんですか?」


カレン:「ケーキのモンブラン。天堂くんが好きなのよ。一択って。」


 女性2人が喋りながら、前を行く形。

 美紅が強引にカレンの腕を組み、2人の会話に持ち込もうとしている。


 まあ、こういうのも良いかもな……。


 ぼっち生活に慣れた龍太郎もしみじみと2人の後ろからついて行く。


 うぐはっ!


 急に龍太郎の背中に、鈍器で殴られたような激痛が走った。

 そして、龍太郎はそのまま地面に倒れ込んだ。


カレン:「あれ?天堂くんは?」


 カレンが振り向くと、後方で龍太郎が地面にうつ伏せになって倒れている。


 え?どうしたの?


 カレンが急いで駆けつけて龍太郎に声をかけるが、龍太郎はすでに意識を失っていた。


カレン:「天堂くーん!天堂くーん!」


 美紅も慌てて、龍太郎にそばに駆けつけたが、唐突の出来事に気が動転していた。


美紅:「ちょっと!何があったのよ!?

 もう!天堂さーん!」


 カレンは、急いで探検者協会本部医務部の救急センターに電話をかけた。


カレン:「すぐに救急車を1台お願いします!

 場所は……。」


 ◇◇◇◇◇

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