3.させてあげない

「えっ?」


 戸惑う彼の声。


 彼のシャツを肩まで脱がせて、そのまま後ろに押し倒す。

 これで、彼の腕の自由は奪えた。

 中途半端に脱がせたシャツは、彼の腕の動きをやんわりと拘束している。


「そのまま…ね?」


 仰向けに横たわった彼の上に跨って、あたしもシャツを脱いで下着姿に。

 両脚で、彼の足の動きもやんわりと押さえつける。


「ねぇ、見て。ここらへん、少し締まったと思わない?」

「ねぇ、ちょっとこれ脱がせて」

「…ダメ。そのまま、あたしをちゃんと、見て?」


 グッと彼に顔を近づけ、唇が触れるか触れないかの所で止める。


「あたし、ダイエット頑張ってるんだよ?あなたのために。だから…ちゃんと、見て?」


 彼の下半身が熱く疼いているのが、伝わってくるけれど。


 今はまだ…ね?

 させてあげない。


 あたしのこと、ちゃんと見て。

 もっと、ちゃんと。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る