第15話 ナンパってラブコメのテンプレだよね

「さぁ、昼ご飯食べにいくぞ~」


 陽菜の声には棘が含まれている気がするのだが、、、

 俺結局行ってないよ?

 なんでそんなに不機嫌オーラで刺してくんの?


「フミ、すまんちょっとこっち来てくれ」

  

 ユウが俺のことを呼ぶ、ちょっと二人で話したいことでもあるのだろう


「すまん陽菜、桜と先に行っててくれ」


 そう言うと陽菜は桜と一緒に海の家へ足を向けていった。


 ―――――――


「で、どうしたんだ?」


 二人が俺らの声が届かないところにまで言ったっことを確かめ、

 ユウに呼び止めた理由を問う


「お前、いつ告白するんだ?あっちにデートスポットあるらしいし、するなら早めがいいと思うぞ。」


 ユウは、さっき桜が行こうと誘ってきたほうへ指を差しながら言った。


そんなことか、と思ったが、ユウは俺を応援してくれている。


だから、俺ははっきりと今はできないと伝える


「まだ、ちょっと気持ちの整理がついてなくてな」


 桜に恋心を抱いているのは自分でも分かっているのだが、

 陽菜にも同じような感情を感じることがあるので、まずはそれをはっきりとさせたい。


 さっきと同じことを考えてしまい、俺はつい表情が暗くなる


 その表情で何かを察したのか


「相談なら乗るぞ」


 そう短く声をかけてくれた。


「じゃあ、ちょっと頼むわ。」

 ここはユウに甘えるとしよう


 俺は今の感情を洗いざらい話した、

 ユウは少し茶化しながらも真剣に聞いてくれた。


 ―――――――――


「結局、お前の気持ちに従ったらいいんじゃないか?」


「そうか、そうだよな」


「おう、すまんな、相談乗るって言った割にこんな原点回帰のようなアドバイスで」


「いや、結構楽になったよ、まぁ、二人とも待ってるだろうし、早く行こうぜ。」


 やっぱり他人に話すだけでも自分の中で整理されるんだな、、


 ある程度打ち明けてすっきりしたところで俺は海の家の方へ歩き出す。


 目線の先にはなんかもめてい3人と5人の集団があった


 =========


「ねぇ、君たちヒマ?今から俺らと遊ばない?」

 

 チャラついた大学生ぐらいの奴ら5人が私たちの道をふさぐように立っていた。


 桜ちゃんは怖くなったのか私の後ろに隠れるようにして、早くも目はうるんでいた。


 こういう時ははっきりと断るべきだと知っているので


「いやです、友達も来るので。」


 と答えたのだが、彼らは引く気はないようだ、


「じゃあ、その友達のほう断って俺らと遊ぼうよ」


 これナンパだ、それもめんどくさいタイプの、、

 私は確信した。


「嫌です、なぜあなたたちと遊ばなければならないのですか?」


「まぁ、とりあえずついて来いよ」


 強めの口調で言われ私も怖くなってきて、


『フミ、助けて、、』

 心の中で叫んだその時


「やめなさいよ!あなたたち!」


 横から女性の声がかかった


「美郷ちゃん、、」


 後ろにいた桜の知り合いだろうか、


「これが友達?結構可愛いじゃん、一緒に遊ぼうよ」


 しかし、ナンパ野郎どもは引くどころか、美郷さんのほうまで狙いだした


 ――――――――――


 そこから5分ほど続き、ちょっとずつ口調も強くなっていき、私たち3人も精神的に限界が近づいてきていた


 私はもうなすすべなしかと思っていた時


「おい、お前ら、何やってんだよ!」


 後ろから私の聞きなれていて、一番聞きたかった声が聞こえた。


「なんだよお前」


「こいつらの連れだよ!お前らなぁ、こいつら嫌がってただろ!」


 そう言いながらフミは私たちの前に立つ、ユウも遅れてやってきてその横に立つ。


「うっせぇな!」


 キレたのかナンパ野郎どもが殴りかかろうとしたのだが


「うわ、なにあれ」

「年下のこと殴ろうとしてるよ」

「ていうか、嫌がってんのにナンパ続けるってねぇ」


 どこからか三人の話し声が聞こえた、聞いた瞬間に分かったのだが私の友達三人組だ。


 その声が聞こえたのかナンパ野郎どもは拳をしまい、不満そうに帰っていった


─────────


「ありがとう、フミ」


 私は緊張がゆるんだからか、涙腺も緩んだようで気付かぬうちに涙が頬を伝っていた。


「フミくん、怖かった。」


 桜ちゃんもフミに泣きついていた。


「二人共、ごめんな」


 私達二人は心が落ち着くまでフミに甘えていた


 ───────────


「ありがとうな、多田さん」


「こちらこそありがとう」


「ねぇ、多田さんは大丈夫そう?」


 俺と多田さん、あとは陽菜の友達たちとあの三人を眺めながら、話し合っていた


「フミくんってあんなに好意寄せられてるのに、なんで気づかないんだろうね」


 彼女らの中の一人が言う


「わかんねぇけど、フミはあの2人の好意に気づかないくせに、二人に好意を寄せてるからなぁ。

 今はちょっと桜に対する感情が強いけど。」


「まぁ、両思いになってからが片思いの本番ってよく言うもんね。

 まぁ、二人から好意持たれて、二人共に好意持つってのはあまり聞いたことないけど、、」


 俺らはそれを聞いてなんだかおかしくて少し笑い声がこぼれた




 










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