第44話  記憶—―ーーー

その時は想いが強くても過去の記憶は時が過ぎれば儚いメモリアルとして刻まれていく。それは衝撃な出来事や出会った人達によって上書きされ過去の記憶は次第に薄れていき風化していくのだ。



幼い頃の記憶など簡単に忘れていくものだ。



日々の暮らしに新しい日常が上書きされていっても、翔流は時々

萌衣の幼な顔を思い出していた。

翔流は萌衣がどんな女の子に成長しているのか想像するのが好きだった。

翔流は一日だって萌衣のことを忘れたことはなかった。





だけど萌衣は初恋相手の名前さえも忘れていた。




7歳の時に最愛なる母を亡くし、その時のショックが大きすぎて、

それ以前の記憶が萌衣の脳裏から消えてしまっていたのだった。

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