第4話 低ランクダンジョンで試してみる
「むふ、これがリーサのぼーけん装備……かわいい!」
「こらこら、いくらHランクダンジョンだからって、一人で奥まで行くなよ?」
「わかってるよ、ユウ♪」
本当に分かっているのか、楽しそうにダンジョンの通路を歩くリーサ。
蒼と黒を基調にした制服風のブレザーに黒い帽子。
彼女の煌めく銀髪にとてもよく似合っている。
青いラインが入った短めのスカートから、すらりと伸びた細い脚は黒タイツに覆われており、足元はコインローファーだ。
愛らしい彼女にとても似合っていて、ついあの時を思い出す。
リーサが11歳の誕生日を迎えて数日後、彼女はダンジョンバスター見習いの試験に合格した。
チュートリアルを兼ね、手近なHランクダンジョンへとやってきたのだ。
(俺のスキルポイント獲得倍率がどうなっているかも確認したいし)
相変わらず、バグったままのスキルポイント獲得倍率。
実際にダンジョンを攻略してみて、結果を確認する事も目的の一つだ。
「あっ、スライムだ。 ぽよぽよして可愛い」
「まってろ? スキルポイントを割り振ってやるから」
ダンジョンの小部屋から子猫くらいの大きさのスライムがぽてぽてと転がり出てくる。
ダンバス試験に合格した者なら、子供でも倒せるくらいの弱いモンスターだ。
念のため、俺はしっかりとスキルポイントを配分する。
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■個人情報
明石 優(アカシ ユウ)
年齢:25歳 性別:男
所属:東兵庫第25ギルド
ランク:F
スキルポイント残高:2,500(-500)
スキルポイント獲得倍率:む&か=%
口座残高:912,500円
称号:ドラゴンスレイヤー
■ステータス
HP :50/50
MP :20/20
攻撃力 :30(+10)
防御力 :30(+10)
素早さ :20
魔力 :10
運の良さ:10
■装備/スキル
武器:ブロードソード(10×3回)
防具:皮の鎧(10×3回)
特殊スキル:ヒールLV1(10×5回)
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■個人情報
アカシ リーサ・レンフィード
年齢:11歳 性別:女
所属:明石 優のパートナー
ランク:H(ダンジョンバスター見習い)
■ステータス
HP :50/50
MP :20/20
攻撃力 :20(+10)
防御力 :40(+10)
素早さ :20
魔力 :10
運の良さ:10
武器:トンファー(10×3回)
防具:ファイバーブレザー(10×3回)
特殊スキル:なし
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「むふ~、からだ軽くなったよっ♪」
Hランクダンジョンに挑むには、過剰も過剰。
Eランクダンジョンレベルのステータスである。
だが、大切なリーサに怪我をさせたくない。
出来るだけの事をしたいのが親心というヤツだ。
「えへ、そんな優しいユウが大好き!」
ぎゅっ
ああもう可愛いな。
俺たちはスライムを蹴散らしながら、ダンジョンの奥へと向かうのだった。
*** ***
「えいっ!」
リーサのトンファーがボス役のスライムを捉える。
ばしっ!
ぼてっと吹き飛んだスライムは、キラキラと光る粒子になって消える。
ぱああああっ
と同時に、ダンジョンは消失し、俺たちは現実世界に戻る。
大きめの公園によく設置されている、山の形をした遊具の中。
Hランクダンジョンはこのような場所によく出現する。
『依頼No:H73878724、Hランクダンジョンの消失を確認』
ここからだ。
ごくりと喉を鳴らす。
「ドキドキ……」
制服姿のリーサをぎゅっと抱き寄せる。
Hランクダンジョンのスキルポイント報酬は通常5~10。
普通は超絶大赤字になるはずだが……。
『残りのステータスを清算し、スキルポイント155が返却されました』
戦闘によるダメージは0。
戦っていたのはリーサだけなので、これくらい戻ってくるのは想定内だ。
次……!
『現金報酬500円 スキルポイント報酬:500(獲得倍率:む&か=%)』
「!!!!」
「ユウ、これって!?」
通常の100倍近いスキルポイントが手に入った!?
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■個人情報
明石 優(アカシ ユウ)
年齢:25歳 性別:男
所属:東兵庫第25ギルド
ランク:F
スキルポイント残高:3,155(+655)
スキルポイント獲得倍率:む&か=%
口座残高:912,800円(+300)
称号:ドラゴンスレイヤー
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「やった!!」
「やった~~!!」
思わずガッツポーズをする。
Hランクダンジョンを2人で攻略して、スキルポイントが黒字になるなんて!
「リーサ、この調子でHランクダンジョンを狩りまくるぞ!」
「らじゃ!」
「今日の夕食は……お寿司だ!」
「やっほう!」
満面の笑みで抱きついてくるリーサ。
Hランクダンジョンは危険が少ない事と報酬が安いせいで、超初心者のチュートリアルに使われるほかは、ほぼ放置されており、”フリー”で狩ることが出来る。
幸い、フェリナさんから貰った現金報酬でしばらく生活の心配はない。
俺たちは1日中Hランクダンジョンを狩りまくるのだった。
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