TURN.07「ジャイアント・シップ・アイアンフォートレス(Part,2)」


 ゴールとなる地上戦艦のコアを護衛するのは二体のロボットだ。

 身長二メートル半。黒と白のマシンロボットはそれぞれコード丸出しの銃火器を構え、侵入者であるヴィヴィッド達を赤のツインアイで睨みつける。

「見たことのないエネミーだ。新しく追加された奴か?」

「とりあえず、一人一体でどう?」

「なら俺は白をやる!」

 このロボット二体を仕留めなければ、戦艦のコアを攻撃することは出来ない。

『『侵入者排除開始Delete,Start.』』

 ロボットの片腕のレーザーキャノンが放たれる。赤のレッドポーション状のレーザー光線は鉄製の床を焦がし、消滅させていく。

「バリアでは防ぎきれないかなァ!これは!!」

 二人ともロボットの先制攻撃を左右に分かれ回避する。ヴィヴィッドが白のロボット。Vi0が黒のロボットを担当する。

 白のロボットは片腕がレーザーキャノン、もう片腕はビームセイバーだ。

「【スクランブル・パレード】ッ!」

 マグナムとショットガンの二丁拳銃。ヴィヴィッドは中距離から得意の銃攻撃で反撃を仕掛ける。散弾と、一発超威力の弾丸が交じり合うコンビネーション。

 素早さにもステータスを降っている。防御よりも回避を優先するヴィヴィッドは白のロボットの攻撃を上手く回避している。

防御Guard

 飛んでくる銃撃の雨霰は高速で振り回されるビームセイバーによって弾き落とされている。とはいえこれだけの数ならば落とし切れるはずもない。

(届いてはいる、だが……!)

 しかし、弾丸はロボットの装甲を貫いていない。威力重視のマグナム銃であってもダメージは微塵も通らなかった。

「実弾に対して完全防御持ちか!!」

 ビーム兵器が効く相手ならばベガアスを呼び出すのだが……このエリアは狭すぎるために呼び出せない。

「ならばセイバーで!」

 手持ちにビーム兵器は一本だけある。片手のマグナムをビームセイバーに変え、白のロボットに接近を仕掛ける。

「【フィールド・ボム】!」

 スキル発動。前面に五個の手榴弾を投げつける。

防御Guard

 ビームセイバーでは弾けないと判断したのか前面にバリアを展開する。手榴弾はバリアに全て防がれてしまう。

「ガラ空きだ!!」

 前面にバリアを張る動作。これで後方はガラ空きだ。

 後ろへ回り込むことのできたヴィヴィッドはビームセイバーを腰に突き入れる!

『……対処Shift

「!?」

 が、駄目だ。

 ビームセイバーをもってしても白のロボットの装甲を貫くことは出来ない。これもまた弾かれてしまう。

排除Kill

 ロボットは手をあらぬ方向へと変形させる。機械だからこそできる芸当か。無理やりな姿勢で後方のヴィヴィッドに反撃を仕掛けたのだ。

(この攻撃も通らない!? コイツはっ、もしやッ……!?)

 ヴィヴィッドは反撃をかろうじて回避する。掠った為、少しばかりダメージ。

(魔法系統の攻撃しか通らないのか!? 物理攻撃も弾丸も通らないとなればッ……分かればどうという事はないと言い切れないのが歯がゆいッ! 魔法攻撃なんて、一つも覚えていないッ……!!)

 生憎、サイバー・ダイバーズは近未来人間のジョブ。最早過去の存在となった魔法攻撃のスキルなど一切兼ね揃えていない。

「どうなってんの!? コイツら、私の攻撃一切効かないんだけど!?」

 白のロボットがそうなら、その相棒である黒のロボットも同じ仕様だったか。

 プラネット・セーバーの超火力ならどうにかなるかもしれないが……アーマード・スーツもベガアスと同様、室内に呼び出すことは出来ない。あれは屋外専用の装備となる。彼女もまた、苦戦を強いられているようだ。走ってヴィヴィッドの方へと逃げてきたようだ。

「どうする……?」

 一度、ヴィヴィッドはVi0と合流する。

「魔法攻撃なら通じる可能性はあるが」

「一個も持ってない」

(ですよねぇ~……!!)

 お互いの趣味。どうやら魔法の存在にはロマンを感じない質なのか。

 となればどうすればいいのか。魔法攻撃を持っていないとなればこのボス戦、詰んだも同然のように思える。大人しくリタイアを宣言するべきか。

「……ん?」

 その時、ヴィヴィッドは目を凝らす。

「どうしたの?」

「見えるか?」

「何が?」

 Vi0は首を傾げる。一体何が見えるというのか。

「ケーブルのようなもの……?」

 ヴィヴィッドは見逃さなかった。

 白のロボットの背中に光のケーブルらしきものが接続されている。一瞬だけ輝きを放つとそれは一瞬で消える。それを繰り返している。

「……どうやら、ギミック・ボスらしい」 

 どの攻撃に耐性があるかどうか、の問題ではないらしい。

 おそらくこの二体のボスは……

「Vi0、でいいか?」

「おっ。名前呼んでくれた」

 また忘れられているのではないかと思っていた彼女はちょっと嬉しそう。

「このエリアの何処かに奴らへエネルギーを転送している何かがあるはずだ……それを見つけ出して、破壊してきてほしい」

「アンタはどうするの?」

「……この二体を引き付ける」

 超鋼鉄。反撃もダメージも全く通らないボス二体を相手、囮を買って出る。

「言っとくけど、このイベントはどちらか一人が倒れても失敗扱いだからね? 責任重大だけど大丈夫?」

「墜ちるつもりは更々ない」

 武器を構え、二体のロボットのターゲットを集める。

「足を引っ張るつもりで俺は二人用のミッションを受けはしない……素早さのステータスならお前が上だ。お前が見つけ出した方が早いと判断した」

「適材適所ってやつね。指図されるのはちょっとムカつくけど……確かにアンタの方が長持ちするかもね。私、紙装甲だし」

 回避能力が高くとも、相手が二体となればいつかは当たる。

 スキルなども見るに持久性ならヴィヴィッドの方が高い。彼の言い分は一理ある。

「……準備はいいか?」

「じゃあっ!」

 二人同時、息を揃えて駆け始める。

「「そっちは任せたッ!!」」

 ボス戦攻略作戦。再びスタートだ。

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