間章:今から一年くらい前の喧嘩話

第33話:一年以上前からもゴリさんとはずっと煽り合っていた

(一年以上前の話)


 これは俺とゴリさんが初めてオフ会をした日から1年以上も前の……俺がまだ高校一年生だった頃の話だ。


 とある月末の金曜日。 その日も俺とゴリさんはいつものように仲良く通話をしながらFPSゲームの協力プレイを楽しんでいた。


『はぁ!? テ、テメェ本当にふざけんなよ!!』

「はぁ!? それはこっちのセリフなんすけど!?」

『はぁ!?』「はぁ!?」


 ……今日も俺とゴリさんは仲良く喧嘩しながら協力プレイを楽しんでいた。


『いやいや何言ってるん?? 今のは完全に一人で特攻したクロちゃんのせいでしょ!』

「いやいやそっちこそ何言ってるんすか?? 今のはどう考えてもカバーに来てくれなかったゴリさんのせいでしょ!」

『はぁ!?』「はぁ!?」


 という事で今はさっきの負けた試合の反省会をしている所だったんだけど……でも気が付いたらどんどんと喧嘩がヒートアップしていった。


『いやそもそも何でクロちゃんいつも勝手に一人で突撃しちゃうん?? そんで勝手に突撃したと思ったら速攻で死んでるしさぁ! 突っ込む前にちゃんとアタシに相談してよ!!』

「いや言った言った! 俺詰めるって超言いましたわ!! なのにゴリさんがカバーに来てくれないから俺死んだんすよ! 普通に考えて俺一人で突撃したらハチの巣にされて死ぬに決まってるじゃないっすか!」

『いやいやちょい待ちよ! 詰めるって言って1秒後にはもう突撃してる馬鹿をどうやってカバーすればええねん!! ってかハチの巣にされるって思ったんならすぐに戻って来いよ! 何のために機動力あるキャラ使ってんのよ!?』

「え、そんなん敵を速攻でなぎ倒すためでしょ??」

『馬鹿野郎かテメェは! とっさに逃げられるためだろ! 機動力あるんだから危ないと思ったんならすぐに引いてこっちに戻って来いよ!』


 ゴリさんは怒り口調でそう言ってきたけど、その後もゴリさんの言葉は止まらずに喋り続けてきた。


『そもそもさ、マップ収縮が始まってるのにアタシ達まだ安置外にいたんだよ?? そんな状況で敵を見つけたとしても別に勝負しかける必要は無いじゃん! 安置外ダメめっちゃ痛いんだよ?? もしかしてクロちゃんこのゲームやった事ないの??』

「いや確かにマップ収縮のダメージ痛いっすけど、でも敵を速攻で全員なぎ倒したらキルポイントめっちゃ入って美味しいじゃないっすか! ランク盛るんだったら取れるポイントは取ってかないとでしょ!」

『いやいや、そんな場所で戦っても勝てるとは限らないじゃん!! それよりも敵を無視してさっさと安置内に移動した方が生き残れる確率上がるんだし堅実に順位ポイント盛る動きで良いじゃん! はぁ、全くもうさー、そんな簡単な事もわからないんだったら小学生から学び直してきた方がいいんじゃないかなー???』

『いやいや、ゴリさんこそ何言ってるんすか! 俺達若者に一番必要な栄養素はキルポなんですよ? 陰キャプレイをしてるだけじゃポイントは盛れないんですよ?? はぁ、それなのに一体どうしちゃったんすかゴリさ……って、えぇ!? も、も、もしかしてゴリさんの自称JK(笑)ってやっぱり嘘だったんですかー???」

『は、はぁ!? 何だよそれアタシなんかよりもクロちゃんの方がよっぽど脳筋ゴリラじゃねぇかよ! もう名前変えちまえ!!』


 という事でさっきも言ったんだけどこれは今から1年以上前……俺が高校に入学したくらいの時の話だ。 この頃の俺達も今と変わらずお互いに尊敬込みで罵り合いながらゲームをしていたんだ。


 ……あっ! もちろんわかってると思うけど、これは俺とゴリさんがお互いに信頼してるからこそ成り立ってる罵り合いだからね! 当時から俺とゴリさんはとても仲が良かったし、お互いの事を一番仲の良いネトゲ友達だと思っていたからね!


 だからこんな罵り合いの喧嘩を知り合って間もないネットフレンドにやったら即ブロックされるから絶対に止めときなよ!

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