第23話:クロちゃんとの約束を果たすために(ゴリさん視点)
(ゴリさん視点)
「あはは! まぁ当日を楽しみにしとき! んじゃあ今日はもう寝るね、乙ー」
『あ、はい、了解っす。 お疲れっすー』
―― 黒さんとの通話が終了しました。
「……ふぅ」
今日は久々に“数年来の付き合いがある悪友”と通話をしながらゲームをした。 本当なら勉強しなきゃいけない時期だという事はわかっているけど……まぁ今日は一日遊ぶって決めてたし、たまにはこういう日があっても良いということにしとこう。
でも今日は久々の通話をしながらのゲームだったので少しだけ疲れてしまった。 なので私は休憩がてら手元に置いてあったお茶を飲んで一息ついた。 ついでにその時、部屋の壁に掛けてある時計を見て今の時間を確認した。
「あ……もう1時過ぎてるじゃん」
時刻は既に深夜1時を過ぎていた。 昔はそんな事思わなかったんだけど、何だか最近は時間が経つのがとても早く感じてしまう。 このままだと受験本番の日なんてあっという間に来てしまいそうで億劫になる日々だ。
「でも受験が終わったらいよいよ高校生活も終わっちゃうんだよなぁ……」
もうすぐ受験で、それが終わったら高校卒業か……そう思うと何だかちょっとだけ感傷的な気分になってくる。 私は気分を変えるためにこれまでの高校生活を思い返してみた。 いや思い返した所で生徒会の仕事が大変だったなという記憶が大部分を占めているんだけど。
「あはは、もうちょっと楽だと思ったんだけどなー」
一年生の頃に内申点欲しさに生徒会に入ったはいいものの、思っていた以上に生徒会の仕事は大変だった。 特に去年は副会長になっちゃったおかげで仕事量がさらに増えてしまい、本当に色々ともう大変な目にあったんだよな。
あとは盛り上がるから文化祭にミスコンやろうぜって言ってきた去年の生徒会長の事は一生許さんからな。 あのミスコンのせいでよく知らない男子達から言い寄られて、生徒会の仕事が全然出来なくなって本当に死にそうになったんだからな……!
(……まぁ、でも)
色々な事があったけど私の高校生活は楽しい日々だったと思う。 学校の友達と他愛無い話をしながらお昼ご飯を一緒に食べたり、生徒会の皆で力を合わせて文化祭や体育祭を盛り上げたり、修学旅行では友達とUSJに行って思いっきり遊んだりと、楽しかった思い出は沢山あるんだから。
「うん、まぁそう考えると私も結構楽しい青春を送れたんじゃないのかな?」
少し前に彼氏持ちの友達の前で“私も青春したかったなー”と、その友達の事を羨ましがってそう言った事があるんだけど、でも私は私でそれなりに楽しい青春を過ごせてたんじゃないかな。 青春って彼氏を作る事だけじゃないもんね。
(ま、彼氏は欲しかったけどさ)
まぁそうは言っても羨ましいと思った気持ちは嘘じゃないわけで。 いやこんな所で強がって嘘ついてもしょうがないしさ。
私だって、その友達みたいに彼氏を作って一緒に遊んだり、ご飯食べたり、勉強会をしたりとかさ、色々な思い出を彼氏と一緒に作って過ごすという“最高の青春”も送ってみたかったよなぁ。
……あ、でもえっちぃ事はちょっと怖いから、そういうのを求められる場合はもう少しだけ大人になってからでお願いしたいかな。 いやだって昔から注射とかピアスの穴あけとか血が出たり痛かったりする事柄全般が大の苦手なんだからしょうがないじゃん。
「はは、いやでも13センチは絶対に嘘でしょ、そんなの絶対に挿入る訳ないもんね?」
そういえばそんなヘンテコな話もしてたっけなぁ。 内容が内容なだけに私はその友達とのヘンテコな会話を思いだしながらついつい笑ってしまった。
「……うん、まぁ総じて面白い高校生活だったって事で!」
ということで今までの高校生活を思い出してみたけど、私的にはそれなりに楽しい高校生活を送れたと思う。 これまで一緒に楽しい思い出を作ってくれた家族や学校の友達とかには沢山の感謝をしなきゃだね。 あとは、まぁ……
(これは癪だから言いたくはないけどなぁ……)
……うん、これはちょっと癪だからあまり言いたくはないけどさ、学校から帰ってきた後に悪友と深夜まで話をしながら遊んできたのも私的にはメッチャ良い思い出なんだよね。 いやかなり癪なんだけどさ! そしてこの事を本人に言ったら確実にドヤってくるだろうから私は絶対に言わないけどね。
「……ははっ」
まぁでもさ、そんな悪友と受験前最後にオフ会で遊ぶことになるとは、最後まで何があるかわからないもんだね。 まぁその悪友とは知り合ってから三年以上も経ってるわけだし、いつかリアルで会って一緒に遊べたらいいなとは思っていたんだけどさ。 だから私が受験勉強で忙しくなる前にオフ会が出来るのは本当に良かったと思っている。
(あ、そういえばさ……)
少し前に私がアドバイスをしたからなのかわからないんだけど、その悪友は高校生の間に“青春”が出来るように頑張ると言ってきた。 どうやらその悪友が惚れている先輩さんにいつか告白してみるんだってさ。
「ま、頑張りなよ、クロちゃん」
私が高校生の間に出来なかった“最高の青春”を謳歌出来るように、是非とも頑張ってもらいたいものだ。 ま、告白が失敗したとしても、その時はあたぎさんとか仲の良いメンバー達でしっかりと慰めてやるから安心して死んで来いよ、あはは!
まぁでも、もし運良く告白が上手くいってその好きな先輩さんとお付き合いが出来るようになったら……ふふ、その時は今まで散々としてきたアイツのヘタレ発言をネタにして沢山弄りまくってやろうっと!
「さて、と……」
時間は既に深夜を過ぎているのだけど、先ほどの通話中に伝えた“ある約束”を果たすためにも、今のうちに調べておきたい事が少しだけ残っていた。
「全くさぁ、何で自分で言っといて忘れるかなぁ」
でも悪友はその約束を完全に忘れているようだった。 ふふふ、これはこの時の話を今後ネタにして散々と弄り倒すためにも……私は万全の準備をせざるを得ないな!
これが上手く決まればきっとアイツはビックリして挙動不審な態度を取るに違いない。 そしてそんな挙動不審がる態度を私は簡単に想像出来てしまいつい笑ってしまった。
「はは、全くもう……しょうがないなぁ」
そんな慌てふためくであろう悪友の姿を思い浮かべながら、私はスマホを開いて“オシャレな三つ編みヘア”を調べていった。
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