第22話:ゴリさんとの約束って……?

『あーなるほど! 確かにアタシ達には良いかもね! そういやクロちゃんって普段は秋葉原には行ったりするの?』

「あ、いや実は俺アキバには一度も行った事ないんですよ」

『あれ、そうなの? クロちゃんはそういう所好きそうなイメージあったから何だか意外だねー』

「いやめっちゃ好きは好きなんですけど……でも今まで行く機会が中々無かったんすよね」


 俺は埼玉住みとは言っても俺の住んでる所は埼玉の上寄りなんだ。 だから俺の家からだと東京に行くよりも群馬に行く方がぶっちゃけ早かったりする。


「あ、ちなみにゴリさんはどうなんですか? アキバには普段は行ったりしますか?」

『あぁうん、アタシは住んでる所が秋葉原に近いから時々行ってるよー』

「え、何それめっちゃ羨ましい!」

『あはは、だから欲しい物がある時は秋葉原に行って買いに行ったりする事が多いかなー。 あ、ちなみにだけどアタシの配信用機材も全部アキバで揃えたんだよね。 いやーあの時は色んなショップを巡ったっけなぁ』

「へぇ、そうだったんですね! ……あっ、それじゃあゴリさんってそういうパソコン周りの製品とかに詳しい方だったりしますか?」

『んー? まぁめっちゃ詳しいってわけじゃないけど、何となくならわかるかな。 でもそんな事聞いてどうしたの? クロちゃん何か買いたい物でもあるの?』

「あぁ、えぇっと……実は今使ってるキーマウ類がぶっ壊れかけてるんすよね」

『え、そうなん!? いやそれクロちゃん一大事過ぎるじゃん!』

「はいそうなんですよ。 それでですね、その、もし良かったらなんですけど……アキバで俺の買い物に付き合って貰う事って出来ませんか?」

「え? クロちゃんの買い物に?」


 流石に申し訳ない気持ちでゴリさんにそう尋ねてみたんだけど……でもゴリさんはいつも通りの明るい口調でこう返事を返してきた。


『あはは! 何それめっちゃ面白いやつじゃん! いいよいいよ! それじゃあ一緒にPCショップ巡りでもしよっか? アタシがよく行くお店とか案内してあげるよ!』

「え!? い、いいんですか!? いや自分で言っておいてアレですけど、多分俺の買い物中はゴリさんにとってはつまらない時間帯になっちゃうかもなんすけど……」

『いやいや何言ってんのクロちゃん! 人が散財してる所を見てるのが一番面白いんだよ? それにアタシはPCショップでグラボとかファンとかをひたすら眺めるのめっちゃ得意だから大丈夫よw』

「あはは、なんすかそれw いやでも確かに俺も家電量販店のパソコンコーナーとかを眺めてるのめっちゃ好きですわ」

『あはは、やっぱりそういうの眺めてるのって楽しいよね! んじゃあ、クロちゃんの買いたい物のリストを後でメッセージで送っといてよ。 そしたらアタシの知ってるお店で買えそうな所案内してあげるからさ』

「あ、はい了解っす! それじゃあ明日までにリストにして送りますね!」

『うん、わかったー! とりあえず今日決めておくべき事はこれくらいで大丈夫そうかな?』

「そうっすね! あとは集合時間とかについては前日に決める感じにしましょうか」

『うんそうだね、そうしよう!』


 という事で突発的に開催が決まったゴリさんとのオフ会だったが、何とかとんとん拍子で詳細を決めていく事が出来た。


「それじゃあ初のオフ会楽しみにしてますね! 当日は色々とよろしくお願いしますゴリさん!」

『うんうん、アタシも楽しみにしてるよー! ……て、あっ!』

「ん? ど、どうしたんすか?」

『ふふ、いやちょっと思い出したんだけどさぁ……クロちゃんさー、アタシと会った瞬間に緊張して何も喋れなくならないでよね? くすくすw』

「い、いや絶対にならんからっ!」

『くすくす、どうなんだろうねぇ? ……あっ! あと、そういえば……ふふ、クロちゃんのために“あの約束”もちゃんと果たしてあげなきゃだねー』

「え? 約束? あれ、俺ゴリさんと何か約束してましたっけ?」

『あはは! まぁ当日を楽しみにしとき! んじゃあ今日はもう寝るね、乙ー』

「え? あ、はい、了解っす。 お疲れっすー」


 こうしてゴリさんとの通話が終了した。 俺は通話を終えて一旦目を瞑りながら先ほどの会話を思い出してみる。


「約束って一体何の事だろう?」


 ゴリさんとの約束を思い出そうとしているんだけど、何も思い出せなかった。 いやそもそも本当に何か約束したのかな? 全く記憶にないんだけど……


「……ま、いいか」


 忘れてるって事はそこまで大した内容ではないんだろうな。 それにゴリさんは当日になればわかるって言ってたし、それなら今から頑張って思い出そうとしなくても別にいいか。


「うーん……よし今日はもう寝ようかな」


 俺は大きくあくびをしながらパソコンの電源をオフにし、そしてそのまま就寝するためにベットの中へと入っていった。

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