第21話:突然ゴリさんとオフ会をする事が決定する

「と、唐突っすね!?」

『そりゃそうでしょ! アタシはやろうと決めたらすぐ行動する事に定評のあるJKだからね!』

「い、いやゴリさんの猪突猛進なその性格は俺もめっちゃ理解してますけど! あ、そういえばゴリさんがゲーム配信始めた時も、ゴリさんがゲーム配信をやるって決めた次の日にはもう配信始めてましたよね」

『あぁ、そうだったね、いやめっちゃ懐かしいなー! あはは、そういえばあの時もアタシとクロちゃんって喧嘩してたよねw』

「いや残念っすけどゴリさんが変な事をしようとしてる時は大抵俺達喧嘩してますよw」

『あはは、確かになーってちょい待ち! 変な事って何よ! 変な事って!』


 そう言いながら俺とゴリさんは笑いながらツッコミを入れ合った。


「まぁ話を戻して、オフ会をするってのは俺も大賛成なんですけど、日にちとかはどうしますか? やるとしてもゴリさんの受験が終わってからですよね?」

『はぁ!? やるって決めたんだからすぐ開催するに決まってるでしょ?』

「え!? ちょっ、ゴリさん正気っすか!?」

『正気に決まってるやろ! それにほら、こういうのは思い立ったが吉日っていうじゃん! あ、ちなこれアタシの座右の銘ね』

「い、いやまぁ確かにそういう諺もありますけども……で、でも受験勉強大丈夫なんすか?」

『あははっ! アタシはクロちゃんに心配される程落ちぶれた学力じゃないよww ってかクロちゃんはアタシの事よりも自分の中間テストの心配した方が良いんじゃないっすかぁ??ww』

「ぐ、ぐぬぬ……!」


 受験生をそんな簡単に遊びに誘うのは流石に良くないだろうと思って俺はそう尋ねたのに、何故か秒で煽られたんだけど!? こ、この脳筋ゴリラほんま……!


『あはは、ごめんごめんw 心配してくれてありがとね! まぁでも今ならアタシも時間にまだ余裕があるからさ、それなら完全に忙しくなっちゃう前にオフ会をしたいなって思ったんだ。 だからさ……どうかなクロちゃん? 良かったらだけどアタシが忙しくなる前に会ってみない?』


 ゴリさんにしては珍しくちょっと語気を弱めてそう尋ねてきた。 その言葉を聞いて俺は少しだけ悩み、そして結論を出して俺はゴリさんにこう返事を返した。


「……うん、そうですね、わかりましたよ。 ゴリさんが大丈夫だって言うんならそれを信じます! じゃあオフ会やりましょうか! 日にちに関してはゴリさんの空いてる日に合わせます!」

『うん、わかった、ありがとうね! あはは、嬉しいなー! それに、流石にあと少ししたら本格的に受験勉強をしなきゃいけなくなるだろうからさ……うん、多分今回のクロちゃんとのオフ会が受験前最後の遊びになっちゃうんだろうなー』

「いやまぁそれは受験生だし仕方ないっすよ。 俺もあたぎさんもゴリさんの受験めっちゃ応援してるんで頑張ってください! あ、それじゃあ今度会う時に受験用のお守りでも買っておきましょうか?」

『え、それは嬉しいなー! あ、じゃあ一番高いお守り買ってね! 何だかご利益ありそうだしさ!』

「ちょっ! 年下にそんな高い物ねだらないでくださいよ!! あ、それで、オフ会の日にちはどうしましょうか?」

『あ、そうだね、えぇっと……クロちゃんは今週の土日はどっちか空いてる?』

「今週の土日ですか、ちょっと待ってくださいね……あ、日曜なら空いてます!」

『あ、うんわかった! それじゃあ日曜日に開催決定ということで!』

「はい、了解っす!」


 ということでゴリさんとのオフ会の開催日がいよいよ決定した。


『あとは集合場所は何処にしようか? クロちゃん何処か行きたい所とかある?』

「え? 行きたい所っすか? うーん、難しい質問っすね……逆にゴリさんはどうですか? 何処か行きたい所とか何かやりたい事とかあったりしますか?」

『え、アタシ? う、うーん、確かにそう言われると難しいなー……あ、でもねっ! クロちゃんと一緒に行きたい所は一つだけあるよ!』

「え、まじすか? 一体何処っすか??」

『いやもちろんゲーセンに決まってんじゃん!!』

「……え?」

『えって、何よその反応!? ゲーセン行ったらテンション上がるっしょ! それにネット対戦じゃなくてさ、本物の筐体でも対戦したくない? アタシはめっちゃしたいんだけど! どうよクロちゃんは?』


 ゴリさんはテンションを上げながらゲーセンについての話を熱弁してきた。 そして俺はそんなゴリさんの熱弁を聞いてる途中に……つい声を出して笑ってしまった。


「……っぷ! ぷははっ!!」

『え? え? ど、どうしたんクロちゃん? いきなり笑いだしてさ??』

「あははっ、い、いやすいません。 何て言うかその……あぁやっぱり俺とゴリさんって似た者同士なんだなーって改めて実感しちゃっただけです」

『え? ど、どういうこと?』


―― 行きたい所とかあったら言ってなー?

―― とりあえず大阪のゲーセンに行ってみたいっす!


 それはつい先日のあたぎさんとの通話中での出来事だ。 あたぎさんに大阪に来たら行きたい所はあるかと聞かれて、俺は迷わずに“ゲーセン”と答えた。 もちろん今のゴリさんと全く同じようなテンションでね。 俺はその事を思い出してつい笑ってしまった。


「あはは、いや何でもないから気にしないでください。 でもそうっすね、俺もゴリさんとゲーセン行きたいっす!」

『あ、本当に? よし、それじゃあゲーセンに行くのは決定ということで! あはは、それなら集合場所はゲーセンのある駅だったら何処でも良くなったね』

「あはは、確かにそうっすね。 あ、そういえばゴリさんって東京住みでしたよね?」

『うん、そうだよ! クロちゃんは埼玉の方だよね? んー、東京と埼玉だと、どこら辺集合にするのが一番良さそうかなぁ?』

「う、うーん、そうですねー……まぁでも、とりあえずゲーセンさえあれば何処でも……あっ!」

『うん? どしたのクロちゃん?』


 その時、今度は数日前の学校での出来事を思い出した。 それは学校でスマホを眺めながら志摩と話をしていた時の出来事だ。


―― ……に行った事ないから、いつか行ってみたいなとは思ってるんだけどさ。


 俺はずっと昔から、とある“憧れの街”に行ってみたいと思っていた。 でもその街は俺の住んでる場所からは微妙に遠くて、一人で行こうという気持ちには中々なれずに今に至っていた。


「……あ、えぇっと、そういえば俺、ゴリさんと一緒に行きたい場所……というか街があるんですけど」

『おっ、そうなの? うんいいよ、行こう行こう!』


 思い返せば俺とゴリさんが友達になった最初のきっかけは“ゲーム”だった。 俺達はゲームを通じて仲良くなっていっていき、今では俺とゴリさんは一番仲の良いゲーム友達にまでなっていた。


『それでー? クロちゃんはアタシと一緒に何処に行きたいの?』


 そして俺が今思い浮かべた“あの街”はゲーム好きな人のためにある街と言っても過言ではない。 だってあの街にはPCショップやゲームショップなどが沢山あるし、家電量販店も沢山ある。 そしてもちろん……俺達が一番行きたいゲーセンだってあの街には沢山あるんだから。


「あの、それじゃあ俺……アキバに行ってみたいっす!!」


 だから俺は……いつかゲームが好きな友達と一緒に行きたいと思っていた“憧れの街”を集合場所に提案してみたのであった。

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