第2話明るい部屋に僕はいる。
梨夏はばつの悪そうな顔で僕を見ている。
かわりに横にいる背の高いイケメンが説明した。
梨夏は友人の誘いで飲み会に参加した。それはいわゆる合コンのようなもので彼女は人数合わせで参加したようだ。
たまたま帰りの駅が一緒だったためにその男と歩いていたといこうとだ。
「やっぱりね、立花さん彼氏いると思ったよ。ずっとつまらなさそうにしてたからね」
そう言い、ハンサムは去っていった。
「ごめんでござる……」
梨夏は謝る。
まあそんなことだろうと思ったよ。
「友だちがどうしてもというのでいったのだが、アニメとゲームの話禁止されておもしろくなかったのよ……」
梨夏は言い、僕の手を握った。
この後、よほどしゃべりたかったのか僕は延々とオタクトークを聞かされるはめになった。
それから数日が過ぎてバレンタインデーの日。僕は梨夏からゴディバのチョコレートをもらった。梨夏は収入のほとんどをオタ活につぎ込むような性格なので、かなり奮発したものと思える。これは黙って合コンに行った罪滅ぼしだろうか。
ゴディバのチョコは甘くて、少しだけ苦い。
「裸で街を一週すれば税を減らすと主人と約束したゴディバ婦人は民衆のために馬に乗って一糸まとわぬ姿で街を回ったのよ。で民衆はそのゴディバ婦人を見ないように窓を全部しめたのよ」
えへんとドヤ顔で早口で梨夏は説明する。
ちょっと鼻息も荒い。
それ前に僕が言った逸話じゃないか。
僕がはじめて聞いたような顔をすると梨夏はにこにことうれしそうに微笑んだ。
その後のキスの味は甘いチョコレートのものだった。
終わり
裸で馬に乗る婦人のチョコをもらった日 白鷺雨月 @sirasagiugethu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます