〇〇〇そうになる二見さん
長かった一学期も終わりとのことで、大掃除をすることになった。二見さんは廊下の方を掃除していて、私は教室。
あんまり思い入れないけど綺麗にしておこう、の精神で窓を拭いていく。ピカピカになったところで気づく。
窓ガラス越しに映る、やけに忙しない動きをするあの男子たち(五味加須コンビ)の異質さに。それはそれは怪しかった。
普段はまともに掃除しないくせに、今日に限ってなんであんな丁寧なんだろう。実は学校好きだったのか?
違和感を覚えた私は、聞き耳を立ててみることにする。
ドアの前の床をひたすら擦る、男子たちの声が。
「へっへっへ、ピカピカになったぜ。見ろよ鏡みたいだろ」
「そうだな。これなら、合法的に覗ける」
「女子なら誰でもいいけど、やっぱ二見がいいな。すぐそこを掃除してるし、ワンチャン最初に入ってくるだろ」
はっはーん、なるほど。あの鏡みたいになった床を使って、スカートの中を覗くつもりか。
やっぱまともなことじゃなかった。許すまじ五味加須っ。
怒りに燃える私は、カバンの中からあるものを取り出す。
テッテレー(脳内音声)サポートアイテムその8、砂(サンドアート用)~!
窓を開け、風向きを計算。よし、この風量なら、ドアの前にまで届きそうだ。
私は握りしめていた砂を一気に解き放つ。それは風に乗って、五味加須コンビのもとへ。
「ぶほっ! な、なんだ! 砂っ!?」
「おいっ、そこのお前っ、さっさと閉めろ!」
怖いよぉ、男子たちに見つめられてる……! それでも、女子たちひいては二見さんを守るため!
でもやっぱり怖いのですぐに窓を閉める。とはいえ、砂はだいぶ床に堆積したようだ。
五味加須コンビがぶつくさ言ってる。そのタイミングでドアが――、
「ちくしょー。あの女余計なことしやがって。これじゃパンツ覗けねーじゃん」
「また一からやり直しだな。さっさと砂を片付けて、楽園観察に移行するぞ――あ、」
「…………」
二見さんたちが二人の会話を聞いている。
会話の内容と状況からおおかた察したらしく、友達たちが冷めた目で五味加須コンビを見下してる。
まさかの二見さんも、顔を引きつらせていた。
「な、なんて冗談ですよ、へへ」
「学校大好きだから。綺麗にしたいという思いだけで」
「……先生呼んでくるから、二人でコイツら見張っててくれる?」
前田さんがそういって去っていく。五味加須コンビは冷汗ダラダラだ。
これはたっぷり絞られるだろうなと私は思い、掃除に戻る。
その後、彼らがどうなったのか、知るよしもない。
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