第15話

 ララティーナとアレティアが手を組むのズルだと思う。

 何か知らないけど僕特攻を持っているララティーナと僕よりも天才のアレティアのコンビとか酷い。

 強すぎる。


「……うぅ」

 

「……いつまで不貞腐れているのよ」


「……なんか、申し訳なくなります」

 

「監禁している側のセリフじゃないよ?それ」

 

 つつがなく成立した国際連合の総長となった僕は今、二人が作った屋敷に監禁状態だった。


「というか、お前らも仕事しろよ。まだ仕事が定まっていない僕ならともかく君たち二人はちゃんと仕事あるし、リアルで対面しなきゃいけない相手がいるでしょ」

 

 一週間。

 僕たち三人はこの屋敷から一歩も出ていない……二人は立場的にまぁまぁ不味そうである。


「ですが、私たちのどちらかが欠ければ脱走するでしょう?」


「うん」

 

 僕はララティーナの言葉にノータイムで頷く。


「まぁ、悪ふざけはこれくらいにしておこうかしら。貴方をこのまま閉じ込め続け、貴方の気分を害していたら盤面ひっくり返されそうだしね」


「おっ?」


「アレスも君のことを探しているし……君に思いを抱いている子も多いからね。いつまでも私たちが独り占めしているわけにはいかないわよね」


「え?そんなサクッと解放されるの?」


「またあなたの進退を巡って壮絶な争いをしたくないわ。私たち二人を出来るだけ優先してもらえればそれでいいわ。私たちが仕事に行っている間は自由にしてあげる」


「おー。国際連合の総長とか言う立場に激務が降りかかってくることもないだろうし、結構いい条件だね……でも、なんでこんな僕にとって好条件が出てくるの?」

 

 試合には勝って勝負には負けた。

 それが僕の現状である……ここまで僕に譲歩される理由がわからない。


「……わかりなさいよ」


「……そうですねぇ」

 

 僕の言葉を聞き、ララティーナとアレティアがそっぽ向き、不満げに声を漏らす。


「……?」

 

 わかっていない僕を見て二人合わせてため息をつく彼女たちは僕へと指をさす。


「ノアのことが死ぬほど好きだから貴方に嫌われることしたくないの」


「私はノアのことが大好きですから。貴方に拒否されるようなことしたくないんです」


「……ッ」

 

 そして、二人は頬を赤らめながらも純粋な僕への好意を口にした。

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