第8話
まだ学び途中の学生たちではなく、ちゃんとした戦闘技能を持ち、本職として戦闘を行っている人間の中でも上澄みである護剣の影の精鋭部隊。
そんな彼らが援護として入ったことで魔王に勝てるかと言われれば全然そんなことなかった。
今までガイたちが魔王と戦えていたのは所詮、魔王が手を抜いていたから。
まだお遊びの範疇であったからに他ならない。
「……ぅ」
「ふぅむ。存外強いな。ここまで耐えるとは思わなかった」
一度、本気となって魔王がガイたちを襲えば、ひとたまりもなかった。
死屍累々。
一応全員死んではいないが、それでも戦えるような状況ではないほどに痛めつけられ、地面に転がされていた。
「……うぅ」
唯一、なんとか辛うじて立つことが出来ているガイが震える足で立ちながら魔王を睨みつける。
「ふぅむ。未だ希望を失わず、か……汝らの奥の手を見てみたくてここまで待ったが……もう良いだろう。これ以上待つのも面倒であるし、そろそろ本格的に人間を滅ぼしたいのでな。今の人間のレベルを見るのもこれまで……後は他で確認すれば良いだろう」
これまで殺意を向けていなかった魔王が初めて殺気を見せる。
「……ッ、お、お前なんて……ノアが簡単に倒されるんだから……」
「ふむ。では……お前らを殺した後、そいつを探すとしよう」
伸ばされるガイの頭を掴んで砕くはずだった魔王の右腕。
「……ッ!」
それがポトリと地面に落ち、血しぶきが上がる。
「ごめん。遅れたぁ」
「……うぅ。私の軍隊が壊滅させられている。自分の手で魔王を復活位置させてとか想定外。というかなんで魔王を復活させる方法を知っているの?理解出来ない……」
何時から居たのか。
いつの間にか黄金の剣を持ったノアとその横で不貞腐れているアレティアが腰が抜けて地面に尻もちをついていたガイの直ぐ側に立っていた。
「ノアッ!」
「……なるほど。汝がノアか」
右腕を切り落とされ、慌てて後ろへと下がった魔王がガイの言葉を聞き、納得がいったように頷いた。
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