第43話
勇者殺し。
何も殺すのは勇者本人である必要はない……相手の心を折り、自分に歯向かって来れないようにするだけで十分だ。
戦闘に関しては圧倒的なチート性能を誇るアレスを僕流のやり方で無力化した僕はララティーナもいる元の片田舎へと戻ってきていた。
「ノア様。私はノア様が私との結婚を宣言していたような気がするのですがどうでしょうか?」
そこで僕はララティーナより意味のわからない尋問を受けていた。
「……どうしたらそんな珍妙な予想を建てられるの?」
僕は内心の動揺を悟らせないようにしながら口を開く。
「ただの勘ですよ?」
「……」
勘……?
何をどうしたら……どんな野生の勘を持っていたら遠く離れた場所での僕の発言を正確に察知出来るの?
確かに僕はララティーナの夫となったとか言ったよ……うん。こわっ!?
「時期的にそろそろだと思うんですよね。アレティアの進撃は尋常とは思えない速度で進んでいますし、フェルジャンヌ王国としても反撃に出ないとそろそろ不味いですし、そもそももうすぐ戦争をまとめるフェーズに入っていくでしょう?既にルルド魔導帝国もフォレンク王国などと言った大国もフェルジャンヌ王国に敗北していますし……世界は既にフェルジャンヌ王国とドレシア帝国に二分されたと言っても良いような状況です。そんな状況ですからノア様も権力が欲しいでしょう?何もかもを自由に動かせる力が」
「……むむ」
ララティーナが言っていることは全て真実である。
だからこそ……僕は何も言えない。
「……ノア様。私だって我慢します。たとえノア様が女の子を遊びをしていたとしても涙を飲んで我慢します……ッ!出来るだけ常に引っ付いているような真似はしないと誓います!ですから!」
未だに悩んでいる僕をララティーナはベッドへと押し倒し、そのまま魔法まで使って僕を逃さないよう拘束する。
「……ですから……ですから!」
そして、ララティーナは忍者もびっくりの早着替え能力で服を脱いで全裸となり、頬を真っ赤に染めながら僕へと迫ってくる。
「ホイさ!」
そんなララティーナを僕は思いっきり投げ飛ばす。
僕の方が遥かにララティーナより強い……力づくで押し倒されるなんて愚行は犯さない。
そう簡単に負けはしない。
「……ッ!や、やっぱり!?こ、これでもぉ!?」
僕に投げ飛ばされたララティーナは瞳に涙を浮かべ、体を震わせる。
「……別に僕もララティーナが嫌いってわけじゃないしね。良いよ。婚約しようか」
「ふぇ?」
そして、僕の言葉にララティーナは固まった。
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