第17話
「それで?あんなきれいなご演説をしていたけど……あなたはその制服を脱ぐの?脱がないの?」
世界剣魔学園の混乱を鎮め、VIPルームに戻ってきた僕にレースが尋ねてくる。
レースの後ろにはアレスにリリス、リリも居て、原作主人公パーティーメンバーのほとんどが揃っている。
「そりゃ脱ぐよ。そもそも参戦要請来ているしね」
「ふーん。そうなのね。ラインハルト公爵家が戦に出るなんてなかなか珍しいんじゃない?」
「これだけ大きい戦争で、なおかつ僕は武勇にも優れているからね。ここでだんまりってわけにもいかないのさ」
「……そういえばラインハルト公爵家は最近軍備を拡張していたわよね?まるで戦争が起こるのがわかっていたかのように」
「よほどの愚か者でもなければいずれ爆発するのは目に見えていたでしょ?僕たちが引き延ばし続けるのにも限界があるよ」
今回の戦争の引き金を引いたのは僕とアレティアだ。
それでも世界のすべてを巻き込む戦争が起こる下準備は、火種は既に揃っていたのだ。
僕たちが動かなくとも最悪の状態で破裂したことだろう。
魔王という脅威が無ければ暇つぶしに火種を一つずつ潰していってもよかったんだけどねぇ……。
魔王軍と矛構えながら火種を一つずつ潰して、戦争が起こらないよう根回しするのはめんどっちい。
「ふーん……」
「僕を疑ったところで何も出てこないよ?」
「それは貴方が巧妙に隠したからではなく?」
「所詮僕はまだ権力を明確に握っていない次期当主なんだけど?」
「……」
僕の言葉を聞いてもなおレースは僕に疑いの視線を向けてくる。
「じゃあ……アレティアとの関係は何?端から見ていたらまるで恋仲のようだったけど?」
「僕は外交官だよ?コネを作ることの何が不思議なんだい?……元から僕はドレシア帝国と友好関係を築く必要があると考えていたんだよ。戦争を起こさず平和を維持するために必要な要素としてフェルジャンヌ王国とドレシア帝国の友好関係は必須だからね……戦争が起こらぬようこのまま緊張状態を引き延ばすのは難しい。でも、だからと言って些事を投げて戦争を手繰り寄せるなんて外交官失格だからね。僕だって色々頑張っていたんだよ?」
「……アレティアはどこから?」
「アレティアは帝位を欲していたんだよ。僕が皇帝の帝位につけるよう彼女を裏から支援する代わりに帝位へとついたアレティアはフェルジャンヌ王国との関係悪化の解消のために最善を尽くすってこと。僕とアレティアの利害が一致したんだよ」
「……その策の一つとしてアレティアとあなたの婚姻がある、ってことかしら?」
「まぁ、そんなところだよ。ラインハルト公爵家とドレシア帝国の皇帝の婚姻ほど面白いものはないだろう?」
「……だから貴方は自分の弟を泳がせているわけね」
「人聞きの悪いことを言うね」
野心を持ち、なんとか自分が公爵家当主の座につけないか画策する自分の弟を僕が一切無視して干渉していないことを泳がせていると表現された僕は肩をすくめる。
「まぁ、でもアレティアと繋がりがこんなところで生きるとは思わなかったけどね。戦争を終わらせる方法なんてフェルジャンヌ王国とドレシア帝国の歩み寄りくらいだ……うまく行けばそう時間もかけずに終戦にまで持っていけると思うよ?」
「なっ!戦争を終わらせられるのか!?」
僕の言葉にこれまで暗い表情を浮かべていたアレスが勢いよく口を開いた。
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