第14話

 永世中立国を掲げるレース小国。

 始まってしまった大戦を前にしても他の国々から一歩距離を置いているレース小国ではあるが、世界剣魔学園が国内にあることも影響してこの国でも少なくない衝撃を与え、混乱状態になっていた。


「末期だねぇ」

 

 世界剣魔学園に在籍し、今も滞在している僕は荒れに荒れまくっている学園を前に言葉を漏らす。

 世界中から生徒を集めるこの学園では普通に戦争状態にある国同士の人間が在籍しており、この学園でも明確な対立軸が出来上がっていてしまっているのだ。

 そこらかしこで生徒同士の罵り合う声、殴り合う音が聞こえてくる。


「諸君、今すぐに戦闘を辞めるんだ!」


 そんな中、僕とアレスを除く十傑のメンバーがこの騒動を止めようと躍起になっていた。

 ドラゴンの上に乗るリスタが一生懸命声を張り上げている様子がここからでも見える。


「一応、止めてく?アレティア」


「そうね……立つ鳥跡を濁さず。散々濁しまくったし、最後くらい貢献してもいいかもね」


「まぁ、そもそもこの戦争自体も僕たちが蒔いた種だしねぇ……うしっと。止めますか」

 

「うん」

 

 僕の言葉にアレティアが頷く。

 

「ほっと……やぁ、リスタ。こんにちは」


 それを確認した僕は跳躍。

 リスタの乗るドラゴンのところまで上がって、着地する。

 アレティアも僕に続く。


「ひぃやぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああ!?」

 

 そんな僕たちを前にリスタが悲鳴を上げる。


「にゃ、にゃ、にゃんであなたたちがぁ!?しゅ、しゅみません!」


「いや、何もリスタは謝ることないんだよ?特に何もしてないでしょ?というか、謝るのはこっちのほうだよね。ごめんね?あの時、虐めすぎちゃって」


「……ふぇ?」


「っと。そんなこと話している場合でもないか……ちょっとこの騒乱鎮めようと思うから、この場所借りるね?」


「……ぼ、暴力行為は辞めて欲しいのですがぁ……」


「そんなことはしないから安心して良いよっと……アレティア。僕が話すんで良いよね?」


「もちろん」

 

 僕の言葉にアレティアが頷いたのを見て僕は自身にかけている変身魔法を解く。

 アレティアも同様だ。


「……え?」


「傾聴ッ!!!」

 

 ドラゴンの上に乗り、本来の姿を晒す僕は声を張り上げる。


「……ノア・ラインハルト?……アレティア・フォン・ドレシア……嘘?え?な。なんでこんな二人が……こ、こんなところに?」


「我は十傑の一人ノイ……もとい、フェルジャンヌ王国のラインハルト公爵家次期当主、ノア・ラインハルトである……命が惜しくば我の話を聞くことをお勧めするぞ?」

 

 困惑の声を上げるリスタを横目に僕は学園全部に声が届くよう魔法で己の声を広げた。

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