第13話

 リーミャ王国によるルクス連合国への宣戦布告。

 ラーニングラドの消滅が起因して始まったその戦争はいつしか、他の国々を巻き込んだ大戦争へと発展していった。

 その理由はルクス連合国がフェルジャンヌ王国との関係悪化を理由に行っていた全方位外交にある。

 ルクス連合国はドレシア帝国を始めとする多くの国と関係を結び、同盟関係を築いていたのだ。


 そして、他の国と比べて頭一つ抜けた国力を持った大国であり、大陸における覇権を競う関係にあるフェルジャンヌ王国とルクス連合国の同盟国同士の関係は非常に悪かった。

 何故なら元から仲の悪かった国同士が分かれる形で、両国の同盟国として集まっていたからである。


 元々仲が悪く、緊張状態にあった国々が同盟国への支援を理由に戦争状態に入り、激しくぶつかり合っていく。


 そして、フェルジャンヌ王国もまた、リーミャ王国の支援を理由にルクス連合国並びにその同盟国へと宣戦布告。

 とうとうその戦争は大国までもが参戦する事態となった。


 そして、そんな事態を座視することなど出来ない国が一つ。

 ドレシア帝国である。

 現在、皇位継承戦をしている真っ最中であるではあるが、それでも自国の同盟国が自分と覇権を競う関係にあるフェルジャンヌ王国に攻撃を仕掛けられている状況を良しとすることは出来なかった。

 

 結果として。

 リーミャ王国とルクス連合国の戦争はフェルジャンヌ王国並びにその同盟国とドレシア帝国の同盟国が競い合う人類社会の覇権を決める大戦争へと発展していた。

 

 そして、これだけの大戦争になってもなお……この戦争は更に規模を広げる可能性を秘めていた。


 ドレシア帝国の北方に位置する広い高原を支配する騎馬民族。


 フェルジャンヌ王国とドレシア帝国とは距離を取っているものの、その同盟国とは対立関係ある中小国たち。


 虎視眈々と自国の覇権を狙うフェルジャンヌ王国とドレシア帝国には一歩及ばないまでも十分な国力を有する大国、フォレンク王国。


 様々な勢力が各々の目的をもってこの大戦争に介入できるタイミングを伺っていた。

 この戦争がどこまで広がり、どんな終末を迎えるのか……それを予想出来るものはないだろう。

 もし、いるとしたらそれは神をも超えるような智謀を持ち、すべての戦争を裏から操れるような人間離れした怪物だろう。

 もちろん。

 想像を超える広がりを見せ、信じられないような結末を見せた本戦争を予想出来る者などいないだろうが。



 引用:詳解 世界史A 三節 争いの世紀‐人類の転換点より  



 

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