第12話

 ラーニングラドの消滅。

 リーミャ王国にとっても重要な都市であり、公爵家も在中している都市の消滅がリーミャ王国に与えた驚愕はあまりにも大きかった。

 

 死者は一万名を超え、ホーエンル公爵家はたまたま王都に用事があって出向いていた次女、アレナ・ホーエンルを除いて全員死亡。

 リーミャ王国にとって最も民間人が亡くなってしまった出来事であった。


「フェルジャンヌ王国はリーミャ王国を支援する用意もあり、状況次第によっては本格的な参戦すら可能です。レイスト国王陛下。いかがしますか?」

 

 フェルジャンヌ王国の外交を一手に担うラインハルト公爵家当主である僕の父の代理としてリーミャ王国に訪れている僕はリーミャ王国国王、レイスト国王陛下との会談に臨んでいた。


「……本当にラーニングラドへの攻撃を行ったのはルクス連合国で間違いないのか?」


「間違いありません」

 

 僕はレイスト国王陛下の疑問の声に頷く。


「レイスト国王陛下。既にリーミャ王国内の民衆は、貴族はルクス連合国への憎しみを増幅させています。ここで引き、弱腰を見せるなど許されません。一つの街を消し飛ばし、何の罪もない非戦闘員を大量虐殺するような国を認めてはなりません。ここで弱腰を見せればルクス連合国から侮られ、リーミャ王国からありとあらゆるものを奪わんと手を伸ばしてくるでしょう……レイスト国王陛下。ご決断を」

 

「うむ……ここで引いたら長年我が国のために尽くしてくれたホーエルン家にも申し訳が立たない。決断すべき時が来たのか……」

 

 レイスト国王陛下は恐らく無意識であろうが、苦渋の表情を浮かべながら口を開く。


「我々リーミャ王国は今回の蛮行をルクス連合国によるものとし、ルクス連合国へと宣戦を布告する。フェルジャンヌ王国には我が国最大の同盟国として、多大なる支援をお願い申し上げる」


「当然にございます。レイスト国王陛下。我が国はリーミャ王国のため、望まれるありとあらゆる支援を行うと約束いたしましょう」

 

 僕はレイスト国王陛下の言葉に力強く頷いた。

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