第67話
私の力がこの世界の真理にたどり着いた私を評価し、悪魔が授けてくださった力ではないと?
私があのくそったれた一族であったからこそ獲得出来た力であると?
そんなこと……そんなこと認められるわけがないだろう。頷けるわけがないだろう。
「ふふふ……」
ノア・ラインハルトが……私と同じく魂に干渉する力を使う少年が小さな笑みを浮かべながら近づいてくる。
「……あぁ」
違うのだ。
私は間違えていない。
だってそうだろう?
「長い年月を生きた魂。それは一体どんなものなのか……実に楽しみだね」
この神よって作られたかのような……いや、神をも凌駕して冒涜するほどに美しく、禍々しい小さな笑みを浮かべる底の知れない少年がただの人であるわけがないのだ。
まさに彼こそが悪魔なのだ。
悪魔がとうとう私の魂を回収しに来たのだ……。
「おぉ……悪魔よ」
私の頭へと手を添える悪魔を前に私は感嘆の声を漏らす。
「……何言っているの?」
笑みを消し、忌々しそうに表情を歪める悪魔の相貌が私の視界に移る最後の景色となり。
「まぁ、死んだしええやろ。さぁて……レイの方はどうかなぁっと。少しは善戦してくれると良いのだけど」
悪魔の誰かを思いやるような言葉が私の耳に入る最後の言葉となった。
■■■■■
ノアと別行動でアンノウンのアジトを探索するレイは淡々と構成員を殺して進んでいた。
「……ふー。想像以上に多いな」
魔力そのものを纏い、魔力そのものを飛ばし、魔力そのものを使って戦うレイの力は圧倒的でアンノウンの構成員では相手にならない。
だが、あまりにも数が多く、レイも何度も戦う中で消耗せざるを得なかった。
アンノウンの構成員の一人一人は決して雑魚というわけでもなく、大国の優秀な騎士と同じくらいの強さを持っているのだ。
「……ッ!?」
レイが進んでいたアンノウンのアジトの廊下が突然崩壊する。
「随分と珍しい術使ってやがんなぁ」
廊下が破壊され、下へと落ちていくレイの耳に男の声が聞こえてくる。
「……面倒」
下へ下へと落ち、最終的にただただ広い部屋へと落ちたレイは自分の前に立つ一人の大男に気づいて眉をひそめる。
「んな、こと言うなや。女……表ぶっ飛ばしてここまでやってきたんだ。俺様を楽しませてくれるよな?」
レイの前に立つ大男……アンノウンの幹部、ルーズトは笑みを浮かべた。
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