第45話

 アーテの告白を受けた僕は一旦逃げるようにしてフェルジャンヌ王国へと舞い戻ってきていた。


「ひどくない!?ねぇ、ひどくない!?私をこの国の学園に呼びつけておいて当の本人は来ないってどういう了見なの!?ねぇ!」

 

 フェルジャンヌ王国の王都にあるラインハルト公爵家の屋敷で僕はガイちゃんからの追及を受けていた。

 僕の命令でフェルジャンヌ王国の学園へと入学した彼はそもそも学園に僕がいかなかったせいで本当のぼっちとして学園生活を送る羽目になっていた。


「うむ……我としてはリーミャ王国とフェルジャンヌ王国が友好的な関係にあるとアピールするための行いであったからな。別に我がいようともいなくともさほど変わらない」


「私的にはだいぶ変わるんだけどぉ!君がいるのと君がいないのとでは雲泥の差なんだけど!」


 僕の言葉に対してガイちゃんが頬を膨らませながら不満げに声を荒らげる。


「ん?じゃあ僕と正体隠して通っている学園に一緒に通う?」

 

 僕はノア・ラインハルトとしての偉そうな態度を止め、のほほんとした雰囲気でガイちゃんへと提案する。


「え?良いの?」


 僕の言葉にガイちゃんが驚きの声を上げる。


「うん。良いよ」


「でも……友好的な関係を示すってのは大丈夫なの?」


「いや、ここでラインハルト公爵家の嫡男である僕とリーミャ王国のラステア公爵家次期当主であるガイちゃんが二人して学園を休んでいたら何か裏で暗躍しているんじゃないかと周りが勝手に推察してくれるでしょ?」


「……ノアは一体どんな未来図を描いているの?」

 

 僕の言葉を聞いたガイちゃんがわかりやすく表情を歪ませて疑問の声を上げる。


「それをガイちゃんが知る必要はないよ」

 

「……うぅ。私が何をどう思っても打てる手がないの絶望的なんだけど」


「まぁ、そのためにガイちゃんの家の立場をないないさせたからね」


「えぇ……もうほんと意味わからない。私とノアが暗躍しているんじゃないかと周りに誤認させることで何を……いや、誤認ではなく警戒?いや……うぅん。何もわからないけど、嫌な予感だけはしてるぅ」


「はっはっは!悩むが良い、若人よ!」


「同い年でしょうがぁ!」

 

「はっはっは!」

 

 実は前世の分も含めたら君により精神年齢がかなり上になるということを黙っておきながら僕は笑い声をあげた。

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