第23話
アレティアとの邂逅を済ませ、ラインハルト公爵邸へと戻ってきた僕。
「おぉぉぉぉぉ……どうしよ。これ」
そんな僕は自分の目の前にある本ほどのサイズのララティーナ王女殿下の手紙に頭を抱えていた。
最近の手紙の内容の要約としては入学が近くなってきた学園を一緒に通えるのを楽しみにしていると言ったような内容である。
「僕ってば世界剣魔学園にアレティアと入学することになっちゃったんですけど!?」
アレティアは確かゲームで自分の影武者を作る魔法を使っていたから、恐らく皇女であるアレティアが世界剣魔学園の方に身分を隠して出向いても問題ないのだろう。
だが、僕は自分の影武者を作るなんて言う魔法作れない。
自分と姿が全く同じな人形を作ることは可能なんだけど……自立思考させることが出来ない。
「どーしよっかなぁ」
学園には全貴族必修で通わなくてはならないので僕も通う必要があるのだが……ぶっちゃけ全部休んでもペナルティーが特にあるわけでもないので休んでも問題はない。
「問題はララティーナ王女殿下なんだよなぁ」
学校をずっと休んでいたらいつかララティーナ王女殿下が突撃してきそう。
「むむぅ……」
僕がずっと学校を休んでいたら当然その理由を知りたいと思い、情報収集の一環として周りの大人たちがララティーナ王女殿下を僕にけしかけることも全然あるだろう。
「……出来るか?」
自分の本来の目的を隠しながら僕が学園を休むことを納得させ、ラインハルト公爵領へと凸ろうとするララティーナ王女殿下を止めるよう周りの大人たちを誘導する……僕が少し前の会談で大立ち回りしすぎて若干ラインハルト公爵家に疑いの目をかけられている中で。
「いや、出来なきゃアレティアに並ぶなんて無理か」
僕は笑みを浮かべ、目の前にある本ほどのサイズの手紙を本棚へとしまう。
「どうせこの子も主人公との出会いで色々と変わるだろ。メインヒロインなんだし……アレティアと違って」
アレティアはゲームでも人気のキャラだったが、ゲーム内で主人公が攻略することは出来なかった。
「ふっ。天才に挑まんとする秀才の実力を見せてあげようじゃないか……!」
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