第12話
「あぁーッ!!!意味わかんねぇぞッ!?もう少しわかりやすい形にしてくれませんかねぇ!?」
誰もいない自室で僕は一人、大きな声で叫んでいた。
護剣の影の面々に集めさせたララティーナ王女殿下誘拐事件の謎に関しての情報の中にあった違和感より組み立てた突拍子もない予想。
ある種の確信を持ったその予想を立てたわけだが、僕の予想を確信に至らせる確固たる証拠を掴むことが出来ずにいた。
「普通に考えればアンノウンの計画に横やりが入って誰かがアンノウンの組織の人間からララティーナ王女殿下の身柄を奪取。その後に誰かが何のゆかりもないただのゴロツキにララティーナ王女殿下の身柄を預け……そこを僕が出会った。そう考えるのが自然。だが、それを行える組織とそんなことをする目的がわからなかった……だけど。これを行ったのが組織ではなくただの一個人なら。目的が僕という一個人にあるのなら……」
ただ一人でアンノウンを罠に嵌め、ララティーナ王女殿下誘拐事件に対して僕が行う行為を予測し、自分の目的に駒を一つ進められるような人間がいるのだとしたら……。
「あいつしかいないと思うんだけどなぁ……いや、でもあいつはゲーム内でこんなわけわかんないことしていなかったし」
考えれば考えるほど思考がドツボにはまっていく。
「……うにゃぁ。馬鹿にはちと天才の思考がムズイ」
僕がどないしようか頭を抱えていると部屋の扉がノックされる。
「……うぅん!あーあー……よし」
僕は自分の声の調子を確認した後、自分の部屋にかけていた防音の魔法を解く。
「入っていいぞ」
「失礼します。ノア様」
扉を開けて部屋の中に入ってきたのはもう僕の専属メイドと化しているサリアであった。
「お掃除に参りました」
「うむ。よろしく頼んだ」
僕はサリアの言葉に頷き、しゃっきとした態度で紅茶を飲みながら書類へと視線を走らせる。
「……ん?」
せっせと僕の部屋を掃除しているサリアのメイド服からバサリと一冊の本が落ちる……サリアは自分の服から本が落ちていることに気が付いていないようだった。
「よっと」
サリアがどんな本を読んでいるのか気になった僕は魔法を使ってちょちょいと本を自分の手元にまで持ってくる。
「ふむふむ……えっと、何々」
「……ん?」
「処女でもわかる!年下の男の子を筆おろしするための方法……ん?」
書かれている本の題名をそのまま読み上げる僕。
「ふわぁ!?それはダメェッ!!!!!」
そんな僕に向かってサリアが大きな声を上げながら、僕の方へと手を伸ばしてきた。
新作だよー!読んで!お願い!
『悪役令嬢の執事となった僕はゲームの世界へと勇者として召喚された最強格のスキルを手にした同級生たちと違ってスキルを持たない落ちこぼれ勇者様!』
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