第39話
この世界の深い深い闇。
長き人類の歴史が生み出したあまりにも深すぎる闇、深淵。
「……リューエスが殺された、と?」
そこに住まう『アンノウン』に少なくない衝撃が走っていた。
その理由は単純で長年幹部として君臨していたリューエスが死んだとの一報が入ったからだ。
アンノウンの幹部たちは『とある方法』で不老となっている存在であり、百年単位で世界の闇に君臨している規格外である。
「……護剣の影か?」
「そうであるとの報告を受けております」
「ふぅむ。護剣の影の全盛期ならともかく、今の護剣の影がリューエスを殺した、と?哀れなことに主人からさえも忘れさられた影が」
「現状の主であるガレッドはかなりの実力者であるとの報告も受けております」
「主は王都より動かなかったはずだが……まぁ、あやつは王女誘拐を実行したのだ。あれも動くか。姿なきものと呼ばれたあやつも落ちたものだな」
アンノウンの幹部たちは全員リューエスの手の内を把握していない。
彼の本体がどこに居たのかを、彼の本体を嗅ぎつけれたのが如何に異常事態なのかを把握することは出来ない。
「まぁ、所詮些事はさじか」
幹部であるリューエスが死んだ。
そんな大事をアンノウンの幹部である男は些事だと切り捨てる。
アンノウンの幹部たちは全員が己こそが至高であると考えており、死んだリューエスと自分は違うという思考回路となるのだ。
「これまで通り計画を進めていくぞ」
「承知しました……我が主、アルシュ様」
幹部の男はリューエスの報告を受けてもなお、己の行動を変えるつもりはなかった。
そしてそれは世界中に散らばっている全てのアンノウン幹部がそうであった。
■■■■■
「ふんふんふーん。次はどの手を打つか……いや、でもやっぱり12歳になった頃が一番良いよねぇ……我の強いアンノウンの幹部のことだ。たかが一人死んだくらいで計画を変えるわけないし、僕が相手の動きを全て把握出来る状態で戦うのが一番有利だよねぇ」
アンノウンは一つ勘違いをしていた。
己たちが他の人類よりも特別な存在であると。
敵が自分たちよりも遥かに特別であり、イレギュラーな存在であると知らぬままに。
「ふふふ……早く四年経たないかなぁ」
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