第6話そろそろ夏休み
那谷学を初めて目にした時のことを思い出していた。
殆ど毎日中川みやこと二人で登校し、かなり仲良さそうにしているのを目にした。
あんな風に大事にされたら誰だって嬉しいはず。
それなのに学はみやこに振られた。
これは私達にとってチャンスなのでは…?
天井姉妹として学に接近できたことを幸運に思うのであった。
「テストどうだった?」
答案用紙が返却されるとしずかは僕に問いかける。
「うん。勉強の成果が出た。いつもより点数高かったよ」
「私達のおかげだね♡」
それに軽く嘆息して応えると一応感謝を告げる。
「たしかにね…ありがとう」
「今日は一緒に帰れそう?」
「帰れるよ」
「じゃあいつもどおり校門で」
それに頷くと帰りのHRが過ぎるのを待つのであった。
HRが過ぎていくとみやこが僕の元へ訪れる。
「一緒に帰ろ?」
そんな突然な言葉に僕は戸惑いの気持ちを覚える。
「ごめん。天井姉妹と帰るから」
正直に事実を口にするとみやこは明らかに不機嫌そうな表情を浮かべた。
「あっそ。じゃあ良いわ…もう知らない」
みやこはそれだけ言い残すと先に帰路に着く。
何を考えているのか理解できないみやこに頭を悩ませながら教室を出ていく。
校門の前には天井姉妹が揃って僕を待っており一緒に帰宅する。
「センパイ♡テストの点数高かったそうじゃないですか♡」
さなえの言葉に頷くとのどかも話に割って入った。
「さなえちゃんはテストどうだったの〜?」
「本当に楽勝すぎて笑った」
さなえは答案用紙をヒラヒラと掲げると僕らに見せた。
当然のように高得点で溢れた答案用紙を目にして、のどかも妹が誇らしいのか美しく微笑んだ。
しずかもさなえの答案用紙を目にしてキレイな笑みを浮かべる。
「大変良く出来ました。えらいえらい♡」
しずかはさなえの頭を撫でる。
そんな他愛のない会話を繰り返しながら僕らは帰路に着く。
いつものように分かれ道で別れると帰宅する。
帰宅すると本日はみやこの姿はなく。
それはそれで助かったのだが…。
スマホには通知が届いている。
相手はもちろんみやこなわけなのだが…。
「やっぱり告白受けてもいいけど?」
そんな唐突な文面を目にして僕は即返事をする。
「自分で言っておいてごめんだけど…やめておく。このまま幼馴染の関係で良い」
それに対してみやこは返事を送ってくるのだが…。
ほとんど暴言だったので直ぐに目を伏せて無視を決め込む。
そんなこんなでもうそろそろ夏休みを迎える僕らの恋愛物語はまた進みだそうとしていた。
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