第5話言い訳臭い状況説明

僕らが通っている高校はスポーツに特化した学校である。

テストの点数が高くともイケメンであろうとも家がお金持ちであろうとも決してモテたりしない。

運動神経が良く、スポーツで活躍する生徒がモテるそんな学校である。

幼馴染のみやこならスポーツ万能じゃない僕のことでも受け入れてくれると思っていた。

そんな打算的な考えもあった告白だったわけで…。

そして何より天井姉妹。

彼女らが僕に迫ってくる理由がわからない。

みやこのわけのわからない言動や行動は一度隅に置いておくとして。


本日は我が学校の生徒にはあまり関係のない期末テスト初日。

「学くん。勉強の成果は出せたかな?」

天井しずかは本日も謎に僕を構う。

理由はわからないが好意を受け取らない手立てはない。

「初日のテストは楽勝だったね。しずかさんは?」

スポーツ特化の学校だからなのか、とにかくテストは簡単だった。

では何故僕がこの学校に進学したかと言えば…。

簡単な話で家から一番近い学校だったから。

それだけの理由だ。

「私も高得点取れたはず。テストが簡単な学校で良かった」

天井姉妹がこの学校に進学した理由は定かではない。

彼女らが部活動に励んでいるわけもなく。

暗黙の了解で部活に入っていない生徒が委員会活動を行うことになっている。

決してその様な決まりがあるわけではないのだが暗黙の了解でという話。

「その代わり委員会が面倒だけどね。そう言えば今日当番だ」

僕は図書委員に所属しているため月に何度か図書室の当番になることがある。

テスト期間中は部活動も禁止されているためいつもより図書室を利用する生徒も多くなる。

「それじゃあ。当番頑張ってね♡」

しずかに背中を押されて面倒に思える図書当番に向うのであった。


「最近、天井姉妹と仲よさげだな。どんな魔法使ったんだ?」

同じく図書当番だった男子生徒に話を振られて僕は首を傾げた。

「僕にもわからない。誂われているだけかも」

正直に少し不安に思っている事を口にする。

「それはない。そもそもそんなことして誰が得するんだ?そんな暇人いないだろ」

男子生徒はそこまで言い切ると作業の手を止めなかった。

「そうかな…。理由がはっきりしないから構えてはいるかな」

「理由なんて無いんじゃないか?好意に理由を求めたがるのあんまり良くない癖だと思うな」

核心を突かれたようなその言葉に項垂れていると彼は言い切る。

「好意ぐらい素直に受け取りな」

それに頷くと本日の図書当番の仕事も終わりを迎えて。

「さて。明日もテストだ。お互い頑張ろうな」

彼はそれだけ言い残すと先に図書室を後にする。

ということは鍵を掛けて職員室まで持っていくのは僕というわけだ。

(面倒な仕事押し付けやがって…)

しかしながら話を聞いてもらいアドバイスまで貰ったので大目に見ておく。

鍵を掛けて職員室に鍵を持っていくと大人しく帰路に着くのであった。

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