第4話みやこの心境
私の状況や心境を正直に話すとしたら…。
控えめに言って最悪だった。
まず一つ目が学校の生徒の間に流れている目に見えない空気についてだ。
何かと言えば、部活に入っていない男子生徒と付き合うのはナンセンスみたいな空気が女子生徒の間で流れている。
一時の流れだと思うのだが…。
それが学から告白された時期と重なるわけだ。
そのせいで私は学を手酷く振ってしまったのだ。
告白されて嬉しかった。
けれどあの時は受けることが出来そうにない状況だった。
そして二つ目。
学校で一番ヒエラルキーの高いであろう天井姉妹が学に目をつけた。
どういう理由かは不明だが学を好いているようだ。
こうなるともう私にチャンスはないのだろうか?
流れや空気などを無視して今からでも学に本当のことを打ち明けようか…。
そんな事まで思考してしまう。
女子生徒にセンスのないやつってハブられてまで強引に学との関係を進める必要はなかったのだが…ここに来て天井姉妹がしゃしゃり出てきた。
私の状況は確実に最悪なものだった。
天井姉妹は女子生徒の見えない空気など気にする素振りも見せない。
「見えないんだから気にする必要ないでしょ?」
しずかはこんな事を言って平気な顔をしていた。
そもそもの話だが天井姉妹はヒエラルキーなどという言葉を知らない可能性すらある。
カーストという言葉も同じだ。
天井姉妹はその様な意味のないことに思考を割くような人種ではない。
いつだって自分の幸福のために生きている。
そういう人種である。
きっと彼女らは他人と自分を比べたこともないのだろう。
自分が優秀だとも感じていない。
超自然的にありのままの自分なのだ。
そんな彼女らだからやはりモテにモテるわけで…。
天井姉妹揃って学に目をつけているのは解せない。
なにか裏があるのでは?
などと勘ぐってしまう。
だけど現状ではそんなこともなさそうで…。
私はこのままいくと天井姉妹といちゃついている学を見る羽目になる。
そんな屈辱的な事は起きてほしくない。
今こそ素直になるべき時なのかもしれない。
しずかが言うには女子生徒間で流れている空気など見えないんだから気にする必要ないらしい。
私もそれに倣って空気を読まずに学に告白し直そうか…。
そう思ったところで今までの学への仕打ちを思い出して少し項垂れた。
早いところ理由だけ話して関係を保留にしてもらえばよかったのだ。
それなのにあんなに冷たい目で告白を断るなんて…。
ただ言い訳をさせてほしい。
告白を断った時の台詞が適切じゃなかったのも分かる。
でも私も告白されて嬉しく思うのと同時になんで今なの!?
もっと空気読んでよ!
そして思ってもないことを口走ってしまったのだ。
誰だってあるでしょ?
失敗すること。
人生を左右する絶対に失敗できない場面で失敗する人だっているの。
それを私はしてしまった気がする…。
これからどのようにして学の気を引くのか、もう一度思考する必要がありそうだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。