【11/25書籍第1巻発売!】ただの村人の僕が、三百年前の暴君皇子に転生してしまいました ~前世の知識で暗殺フラグを回避して、穏やかに生き残ります!~
閉じ込められた間抜けなネズミの、母親のご登場です
閉じ込められた間抜けなネズミの、母親のご登場です
「これは、どういうことでしょうか」
次の日の朝、リズベットは白々しくも扉を見つめて呟く。
もちろん、ロビンが閉じ込められている部屋の前で、だ。
で、部屋の中からは。
「クソッ! 誰かいないのか! この俺はバルディック帝国の第三皇子、ロビン=フェルスト=バルディックなのだぞ!」
とまあ、恥ずかしげもなく名を名乗って醜態を
「それで……このことは、皇帝陛下にもお伝えしたのか?」
「「「「「…………………………」」」」」
ロビンの従者や、金牛宮の使用人達が無言でうつむく。
どうやら、まだ伝えてはいないみたいだ。
「いいか。僕は別にみんなに罪を着せているわけじゃない。そもそも、これはロビン兄上が勝手に行ったことで、決してみんなのせいではないことは、この僕が皇帝陛下にも進言しておく」
「「「「「っ!」」」」」
僕の言葉に、従者や使用人達は安堵の表情を浮かべた。
そりゃあ、馬鹿な主人のせいで自分や実家が処罰されたら、たまったものじゃないからね。
「そういうことだから、早く皇帝陛下達にお伝え……って、さすがに金牛宮の者がそのまま言いに行ったら、その場でお怒りになってしまうか。マーヤ、悪いが頼めるかな?」
「かしこまりました」
マーヤは
その時。
「ルドルフ殿下、ごきげんよう」
「っ!?」
現れたのは、四人の侍女を連れて扇で口元を隠す、一人の豪奢な女性。
もちろん僕は、この女性を知っている。
フレドリクとロビンの母親で、バルディック帝国第一皇妃――アリシア=フェルスト=バルディック。
「これは……アリシア妃殿下。このようなところに、どうなさいましたか?」
僕は
といっても、自分の息子であるロビンが閉じ込められていることを、
一応、マーヤが間者である使用人達についてはほとんど排除したものの、一部だけは
「朝から
白々しくも、アリシア皇妃は微笑みさえ浮かべて扉を見つめた。
今も騒いでいる、実の息子の声を無視して。
「いやあ……困ったことに昨夜、この
「ウフフ……間抜けな
僕が肩を
何というかこのやり取り、プレッシャーで胃がキリキリと痛むんだけど。
「ところでルドルフ殿下、そのネズミ……私に譲ってくださらない? ちょうど、
……やっぱりアリシア皇妃の目的は、ロビンの確保だったか。
まあ、それ以外にこんな
アリシア皇妃だって、ベアトリスの息子である僕なんかと、会いたくもないはずだし。
でも……僕だって、易々とロビンを解放するつもりはないよ。
「それは困りました。このままネズミを捨て置いては、
「そうかしら? 第一皇妃であるこの私が、直々にネズミを管理してあげようと言っているのよ? なら、陛下だってきっと分かってくださるわ」
よく言うよ。ロビンを受け渡したら最後、この件をなかったことにするくせに。
最悪、ロビンの従者や金牛宮の使用人達だって、口封じのためにどうなるか分かったものじゃない。
事実、ここにいる従者や使用人達は、怯えた目で僕とアリシア皇妃の様子を見守っているし。
いずれにせよ、これは僕にとっても絶好の機会。
ここでアリシア皇妃に恩を売ることで、今後がやりやすくなるからね。あと、ついでに従者や使用人達にも恩を売ってやるか。
「……ではこうしましょう。アリシア妃殿下が
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