第5話
根古田博士の研究室のドアがノックされることはそう多くはない。彼に家族はもういなかったし、訪ねてくるような友人もいなかった。
しかし、トラコと暮らし始めてからドアがノックされる頻度が目に見えて増えていた。根古田博士がネットで購入したものが配達される回数が増えたからだ。
同居生活が始まり半年、トラコは、一向に根古田博士に懐かなかった。根古田博士は悩んでいた。どうすればもっと仲良くなれるのか。トラコの好きなおやつを買ってきても、おもちゃで気を引こうとしても、効果は出なかった。その頃には、猫語翻訳アプリは不良品だと認定して使うことも無くなった。
ある日、根古田博士はネットで怪しげな広告を目にした。『どんな相手も惚れさせる究極の媚薬』。
これを使えば私もトラコ様に愛されることが出来るかもしれない……
そう思ったらいても立ってもいられず、五万円もする怪しげな媚薬の注文ボタンをクリックしていた。
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