第5話 小野さんがお風呂に入ってきた
食後、俺は風呂へ。
幸い、我が家のバスルームにはロック機能がある。カギをしてしまえば、いくら小野さんでも侵入はできまい。
安心してひとりでくつろげるってことだ。
しかも、今は片付けに追われている最中。入るなら今しかないだろう。
俺はこっそり脱衣所へ向かった。
「……ぬかりなしっ」
着替えをもって俺は風呂へ。
素早く脱いで俺はバスルームのカギを掛けた。完璧だ! これで小野さんに狙われる心配はない。
ゆっくりとシャワーを浴び、湯船に浸かる。
ここまでは普通だった……だが。
『ゴソゴソ……。ゴソゴソ……』
なにか物音が聞こえた。
脱衣所からだ。
ま、まさか!!
俺は扉に耳を立ててみた。
『す~、は~……』
なにか人みたいなのが俺の服らしきもののニオイを嗅いでいる気が――って、小野さんだあああああ!! これは間違いない!
「ちょっと、小野さん! スーハーしないでくれ!!」
『……あ、バレちゃった』
「バレちゃった、じゃないよ。なにしてるのさ!?」
『大久保くんのニオイ、好きなんだ』
「だからって堂々とするな、ヘンタイ」
『充電できたところで、お背中流そうかな』
人の話、聞いちゃいないな。
けど、小野さんがお風呂に入ることは不可能だ。ロックされているからな!
扉の向こうでは、小野さんが脱ぎ始めていた。――って、マジぃ!?
「ちょ、小野さん! 脱いでも風呂には入れないよ!」
『慌ててるね、大久保くん。わたしだって恥ずかしいよ。でも……勇気出したいんだ』
どんな勇気だよ。
よく分からないけど、どのみち侵入は不可能だ。ここは不可侵領域なのだから。
――だが。
『……ガラガラガラ』
スライドドアが開いてしまった。
「…………へ?」
「お待たせ♡」
「小野さん……なんで、って、あれえぇ!?」
俺は確かにカギを掛けたはず!!
なのになんで!?
「君は今、なんで? って思ったよね」
「ロックしたはずだ」
「そんなのさ~、クリップでちょちょいのちょいなんだよね~」
「手錠外しの達人かよっ!!」
くそう。そんな手があったとは……予想外すぎた。ていうか、小野さんバスタオル一枚の姿じゃないか……刺激強すぎだろ。
女子高生の半裸を目の当たりにしている。
健全すぎる男子である俺にとって、彼女の輝かしいボディは鼻血案件でしかなかった。このままだと血の海になるだろう。
「さっそくお背中流すね。ここに座って」
「座れるかっ! 小野さん、なんて魅力的な体してるんだ……」
「あ、ありがと。そうだよねぇ、やっぱり男子は胸が好きなんだ」
「小野さんがこんな巨乳だと思わなかったよ。着痩せするタイプか」
「そうなんだ。普段は小さく見られるけどね~」
さあ早く座ってと促され、俺はもう逃げ場を失った。これは従うしかないかぁ……。そうでないと、浴槽に入って来られそうだ。
ここは素直に背中を流されますか(諦め)。
結局、俺は小野さん(バスタオル姿)に背中を丁寧に洗って貰った……。ちょっと幸せを感じてしまったぞっ。
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