第3話 わたし好みの……好き♡
まさか机の中にあったパンツは、脱ぎたてだったのか!?
「ちなみに、ブラも追加でカバンに忍ばせておいたよっ」
「余計なことすんな! ありがとう!!」
あぁ、もうどうして小野さんはこんなヘンタイ女子になってしまったんだ。原因はなんだ? 清楚で可愛くて愛嬌のある小野さんを誰がこんな姿に変えてしまったんだ。
俺か!?
俺のせいなのか?
そうだとは思いたくない。
もし俺が原因なら、小野さんを慕っている男子あるいは女子からフルボッコにされてしまう。魔女裁判のような地獄を見そうだ。
眉間を押さえていると、小野さんの行動は更にエスカレートした。
「ねえ、大久保くん。わたし……君のたくましい肉体が好みなの」
微妙に息を乱しながら、小野さんは俺の腕や腹筋に触れてくる。確かに、俺は筋トレマニアなので、そこそこ鍛えられている。他の男子に比べれば肉体的に見えなくもないかも。
まさか……小野さんはマッチョ好きなのだろうか。
「分かった。分かったから、そんなにソフトタッチをしないでくれ。くすぐったいから」
「ごめんね。でも、やっぱり、わたし好みの
教室に残っているクラスメイトが死んだような顔でこっちを見ている。これ以上はまずいな。そろそろ魔女裁判にかけられてもおかしくない。
俺は火炙りの刑になる前に、小野さんの腕を引っ張り、教室を飛び出た。
「か、帰ろうか」
「やったっ。大久保くんと一緒に帰れるとか嬉しい」
「そりゃ良かったな。俺も嬉しいよ」
ヘンタイじゃなかったら、尚良かったけどね。
* * *
学校を出て帰路につく。
空はもう日が沈みそうで暗闇に支配されつつあった。冷たい風が頬を撫でる。
一日が終わりそうな、そんな夕闇の中で自宅を目指していると、小野さんも同じ方向についてきた。
まて、おかしい。
「あれ、大久保くん。立ち止まってどうしたの?」
「どうしたの、じゃないよ。小野さんってこっちだっけ?」
「うん、こっちだよ」
……なんか嘘っぽいような。
でも、本当かもしれないか。
まあいいや。
そのまま歩いて、とうとう自宅前。
小野さんも立ち止まっていた。
「あのさ、小野さん」
「うん、なに?」
「まさか、俺の自宅を知る為についてきた!?」
「大当たり~!」
「大当たり~、じゃないよおおおおお!! ストーカーかよ!」
「失礼だなぁ。わたしは、たまたま大久保くんの家の前を
偶然を強調しながらもウチの敷地を跨ぐ小野さん。
ダメだ、この人ぉぉおお!!
両親になんて紹介しようか……。
いや、追い出すべきか……?
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