恋先輩は金髪も似合ってるし可愛いのに

「あ、あ、あの!なんで嫌うんですか?」


 そんな中で声を上げる。


 恋先輩のそばに寄り添って彼女の肩に優しく手を乗せて、彼女を嫌う理由を特進の生徒に問いかける

 たどたどしくだけど、聞きたいことを聞く。


 すると少しの沈黙の後、眼鏡をかけたいかにも優等生が口を開いた。


「勉強は嫌いじゃないよ。むしろ好き」


 うわ、性格が悪いな。


 隣に恋先輩がいるんだから恋先輩のことを聞いてるに決まってるのに。


 だいたい勉強好きじゃないとこんな眼鏡で溢れたクラスにいれないよと心の中で文句を言いながら、訂正する。


「そ、そうじゃなくて!こ、恋先輩のことですけど」


 するとまた少し沈黙

 ただ先ほどよりかは早いスパンで別の人から返答がくる。


「鼻につくんだよ。その髪色とか、ピアスとか。さも自分は天才ですって言わんばかりの振る舞いとか、鼻につくんだよ」


 テンプレートのような解答。

 解答としてはとても簡潔でわかりやすい。


 やはりここは進学校の特進クラスなんだって思わされる。

 黒縁に泣きボクロの先輩、現代文が得意なのかな?


「で、でも!髪色は、似合ってるし、ピアスも似合ってます!」


 あれ、なんか違う気がする。

 それは自分でもわかるし、目の前の黒縁の人がぽかんとしてるのを見てもわかる


「悠里...ズレてる」


 夕夏ちゃんも教室のドアから覗き込んでいた。


 ふと気がつくと、ドアから何人かギャラリーが覗いている。

 まぁでもこんな金髪の可愛い先輩がこのクラスに来たらみんなびっくりしたんだろう。


 ただたしかに夕夏ちゃんが言うように本題とはズレてる。


「...」


 周りも少し呆れている様子だった。

 と、とにかく嫌われてる原因を聞かなきゃ。


 その時


「もういいわ。悠里、なんで連れてきたの?」


 恋先輩がそう言いながら悠里の手を引いた。


「え?」


 少し...恋先輩は怒っていたように見えた。


 というより…きっと怒っている。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る