謝罪と怒り

わたしを、嫌いにならないで…

 そうすれば、わたしはあなたを「好き」で言られるから


〜恋〜


 嫌いになるはずがない、嫌わないよ

 むしろ、こんな過去を持ってたなんて思わなかった。


「簡単に好きとか言ってごめんなさい」


 目の前で震えながらそう話してくれた悠里の手を強く握って私は許してもらうようにそう語りかける

 本当に悪いことをした。

 踏み入ったところが本当に良くなかったんだ。


「そ、そんなことないよ…っ!あっ!ご、ごめんなさい」


 悠里はいまさらタメ口を訂正するように口籠もり、目線を泳がせてる。


「いいよ。距離が近づいたみたいじゃない」

「いや」

「タメ口、お願い」

「は、はい」


 緊張はまだ解けないみたいだけど、私といると悠里は少し落ち着いたみたい。

 なんか嬉しくて、自然と笑顔がこぼれちゃう。

 いつか私も、悠里の笑顔を、満面の、心から笑った笑顔を見たいと思った。


〜夕夏〜


 あの時、悠里は震えてた。


 あたしも怒りで震えてた。


 意味がわからなかった。入山とか、そのよくわかんない男とか

 水ぶっかけてやりたい。

 中学生のころ、あたしの好きな男の人と一緒にいた女みたいにかけてやるのに。

 ただ、そういうことでウサを晴らしてもしょうがないし、悠里をいじめた人と同じだからやめとくけど。


 今はとにかく恋先輩をなんとかしなきゃ

 だってさ、あの距離はあたしより近いもん。


 とりあえずもっと悠里といたいな。

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