第10話 スライムでアレを大きくしよう

「朝陽菜先輩、魔法とか使えないっすかね?」


「無理だろ」


「実はわたし、ファイヤーを出す方法を思い付いたんですが」


「どうせロクな事じゃないと思うけど聞こうか」


「同じ色のスライムを8個つなげたら」


「違う意味で炎上するわ」


「先輩ならヒールが使えるんじゃないすかね?」


「悪人面だからとか言ったらパイプ椅子で殴るからな?」





   ◇




「朝陽菜先輩、スライム活用計画なんすけどね」


「まだ諦めてないの?」


「前回のカメレオンスライムがちょい増えまして」


「あー、諜報部員にしたアレね」


「それを利用して、今回はこんな商品をお持ちしました」


「って、何も持ってないじゃん?」


「よく見てくださいよ、ホレホレ」


「なに?」


「だから良く見ろってば」


「うーむ?」


「マジふざけてんすか? 明らかにわたしのおっぱい、デカくなってるでしょーが?」


「あー、やっぱりそれ? いや、そんなにパット入れて、涙ぐましい努力してんだなって思ったら、決して触れちゃいけない気がして」


「思いっきり湧いた殺意は置いといて。まあ、生でしっかり見てもらいましょうか?」


「お前、なに脱いでんだよ? あーあ、ブラまで全部脱いじゃったし」


「ほれほれ、どーすか?」


「へぇ。本物のおっぱいにしか見えないな」


「ふっふっふ。これぞ微乳を巨乳に変える画期的新商品。スライムパットなのです」


「おまえ、言ってて悲しくない? 正直良くできてるとは思うけど」


「では、先輩にも試してもらいましょう。ちょっと待ってくださいね、今取りますから」


「え? アタシはいいよ。これ以上、大きくなりたくないし」


「……激しく湧いた殺意は置いといてと。部長として試してもらわないと困りますねー?」


「うう、わかったよ。イヤだけど」


「じゃ取りますね…………」


「…………」


「…………あの、先輩。わたしの素の胸見て、何か見てはいけないモノを見た、みたいな顔しないでくれます?」


「あ、ワルイ。まさかそこまでコンパクトだとは思わなかったもんで」


「ほっといて下さい。ほら、これつけて」


「うーん、こんな感じ?」


「うっ、これはまた一段と凶悪なデカさっすね、素晴らしい。ただね、このスライムパットには一つ問題がありまして」


「は? お前、このタイミングで言う? どんな問題……ふぉぉぉぉ⁉」


「そう、このスライムは生きてますんで、時々そうやって動くんすよ」


「ハァハァ、これはアカンやろ⁉」


「だがしかーし、逆に考えれば欠点も利点になるんじゃないかと。はい、ここにそのスライムと同じ個体から分裂したスライムがあります」


「ちょっと待て」


「はいこのスライムをモミモミすると……」


「ふぁあぁぁぁぁ⁉」


「そっちのスライムも同調して動きます。つまり、リモコンバイブのような使い方が」


「ホントにやめれっ」




   




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