第9話 カメレオンスライム
「朝陽菜先輩、金髪エルフ捕まえに行きません?」
「またカブトムシ捕まえに行くみたいなノリで言うなよ。つか、ダンジョンに金髪エルフはいないと思うぞ? だいたい、どーやって捕まえるんだよ?」
「たまたまモンスターに襲われてる所を助ける感じで」
「何? その都合のいい展開」
「異世界転生したり、無能扱いされて追い出された直後は99%そーゆー展開になるんすけどね?」
「お前、どんだけ異世界モノに毒されてんだよ? てか、流石に99%は盛り過ぎだろ。せいぜい85%くらいじゃね?」
「先輩、リアルに煽ってないすか?」
「ダンジョン内ならドワーフの方がまだ居そうだけどな」
「うーん、ドワーフすか。現状、わたしがボケで先輩がエロ要員じゃないすか」
「そこはせめてツッコミ要員にしてくれない?」
「もっとエロ要員を増やしてハーレム展開にするべきなんすよ」
「それ、誰のハーレムだよ?」
「なので、ドワーフにエロ要素を求めるのはちょっとね」
「小柄でぽっちゃりがタイプな人もいるけど」
「わたしのタイプじゃないっす」
「お前の好みは聞いてないんだが」
「それなら高位のドラゴンを使役した方がよくないすかね? 異世界物だと、あいつら人化したら99%エロいオネーさんになりますよ」
「いや99%は盛り過ぎだろ? せいぜい92%くらいじゃね?」
「先輩、絶対煽ってますよね?」
◇
「先輩、凄いスライム発見したっす」
「期待しないけど、とりあえず聞こうか」
「コイツですけどね。なんと周囲に合わせてカメレオンみたく、色が変わるんすよ」
「あれ? 意外とまともなヤツだった」
「しかも、忍者みたいに分身するんです」
「おー、5匹になったね。てかこれ、分身じゃなくて分裂だろ? 別れた分、小さくなってるし」
「で、コイツらを諜報部員として学校内に放とうかと」
「確かに忍者っぽくて見つからなさそうだけど。放してどーすんの?」
「先輩、今は情報戦の時代っす。情報を制する者が勝利するんすよ」
「いったい何と戦ってるんだ? お前は」
「人の秘密は握っとくもんだ、って事っす」
「うーん、マジでこの学校の暗部になってきちゃったなぁ。でも、スライムが集めた情報なんて、どーやって整理するんだよ?」
「実はこの諜報員スライムたちの意識は繋がってるんすよ」
「あー、元は1匹から分裂したからね」
「4匹は校内を回らせて、残りの1匹はキーボードに擬態させてここで待機。そのキーボードをタブレットに繋げると……。送られてきた情報をタブレットに表示してくれる訳っす」
「思った以上にちゃんとしてるな」
「フッフッフ。これで生徒達の弱みを握り放題っすよ?」
「怖いわ。お前、何を目指してんの?」
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