四、君が好きです
その後、天界に衝撃が走ったのは言うまでもなく、
また、彼女と口裏を合わせた神官たちはその地位を剥奪され、天界から追放された。その気があれば、いつでも天仙になる機会は与えられたが、どうするかは彼ら彼女ら次第だろう。
そして
数百年に亘り下界を騒がせていた
天帝に呪いの解除をしてもらい、数百年ぶりに逢う知り合いの神仙や仙女、神官たちに簡単に挨拶を済ませ、そのまま
天から降りている途中、もぞもぞと胸の辺りが波打ち、ひょこっと顔を覗かせた白蛇が
衣は白を基調としているが、袖や裾は赤い線の模様が入っており、帯も白いが、その上にいつも身につけていた紫色の細い飾り紐を垂らしている。
髪の毛を括っている小さな冠は金色だが、決して派手ではなく、むしろ彼の華やかさが百倍は増して見えた。琥珀色の瞳の端の辺りに紅色の化粧が入っており、どんな美しい天女だって、彼にはきっと敵わないだろう。
「
『それは駄目。ずっと飽きるまで見ていたい。そんな日はたぶん、一生来ないけど』
白蛇姿の
「この世のどんな美しいものより、俺の眼にはあなたが、特別に美しくに映っているよ」
突然、精霊の姿に戻った
「本当に、君はずるい、です」
今度は見上げる方になってしまい、
「あなたの方がずるいよ。そんな可愛い顔をして。俺を困らせないで?」
その意味を遅れて知った
「
覆った指の隙間から、精霊の姿の
青銀色の瞳。
白髪で、正面から見ると短髪だが、後ろの方だけ尻尾のように長い。
左耳に飾られた小さな金の環の耳飾りが、太陽に反射して光り、自然と目を惹いた。
白い上衣の上に藍色の腰帯、黒い下衣を纏っていおり、下弦の月のような銀の首飾りがとても良く似合っている。
「天界でもその姿なんですね。下界での姿とまったく同じ、」
精霊が下界でとる姿を化身と呼ぶ。
化身の姿は好きに変えられるが、
「あなたに逢うのに、偽物じゃ恰好がつかないでしょう?」
ね? と顔を覗き込み、
「あなたに口付けするなら、俺自身じゃないと」
言って、下降しながら
真下には
「やっぱり、皆でお祝いが良いかな? あんなに頑張ってるのに、主役がいないんじゃ可哀想だ」
「ふふ。ありがとう。そう言ってくれると思ってました」
その横顔に儚さを覚え、思わず抱き上げたままの態勢で、
「どうしました? なにか不安なことでもありますか? 大丈夫、あなたのことは私が守りますから」
「はは。それは心強いな、でもそんな心配はないから、大丈夫」
契約はもうとっくに解除されてしまったけれど、これから先は、そんなものはなくてもずっと一緒にいてもいいのだと、知っている。
だからどうか、二度とその笑顔が消えることがないように。
「あなたが、好きだよ。この先なにがあったとしても、俺はあなたの傍にいると誓うよ、」
この世の誰よりも、愛してる。
それは、永遠に変わらぬ、想い。
「私も、君が好きです」
その言葉は、いつだって、何回だって。
君だけに、あげる。
~了~
❀✿❀✿
最後まで読んでくださり、本当にありがとうございました(*˘︶˘*).。.:*♡
柚月 なぎ
✿❀✿❀
黒竜に法力半減と余命十年の呪いをかけられましたが、謝るのは絶対に嫌なので、1200の徳を積んで天仙になります。 柚月なぎ @yuzuki02
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