ロベルの言葉
「……それが成長を言うに値することですか?」
「そこ、水を差さないで」
まったく、四年前までは粗末で面白い奴だったのに。どうしてこんなになったのかしら。
私はガチャ魔道具の前に立った。コインを投入する部分も、操縦する部分もすべてそのままだ。……とはいえ、実は四年前のその日以降もたまにこの店に来ていたので、この店が相変わらずだということは知っていた。
ただ、ロベルと一緒に来たのは本当に四年ぶりだ。ここに来る時はいつも私一人でこっそり来てたから。実は四年前のことがとても恥ずかしかったので、一人でこっそりガチャを練習しに来たのだ。
……慣れた店でも、四年前の思い出を共有する人と一緒に来る。大したことじゃないのに妙な感慨があった。
「よし、しっかり見てね!」
私は勢いよくコインを一つ投入した後、操縦用の魔道具に手を出した。勢いよく魔道具を操るのも、思いっきり撃つのも四年前と同じだった。でもその時とは違って、ぬいぐるみは正確に穴に投入され、私の前に現れた。
ふふん、一回で引いたのよ!
「お上手ですね」
「フフッ、私にできないことはないわ」
「……ここでは何も言わずにお祝いするのが使用人としての処世術でしょう」
「それを言葉にしちゃ意味がないでしょ」
からかわないでよ本当に。
私は心の中で不平を言いながらぬいぐるみを彼に差し出した。赤いくせ毛の可愛い子犬のぬいぐるみだった。……あまり意識したわけではなかったけど、引いてみるとロベルの赤いくせ毛に似ているようだ。
一方、ロベルはぬいぐるみを見て首を少しかしげた。
「お嬢様?」
「あげるわよ。四年前には私が一つもらったからね」
「あえてそうなさる必要はありませんが。しかも僕がぬいぐるみを持っても使うところもありません」
「いいから! とにかく受け取りなさい!」
私はぬいぐるみをロベルに押し付けて、先に店を出た。そして大急ぎで歩き出した。ロベルはすぐに私についてきた。
「僕に任せるんじゃなかったですか?」
「……案内しなさい」
次に案内されたのは食堂だった。少し予想はしたけど、今回もやっぱり四年前に行ったそこだった。外観やインテリアが少し変わった部分はあったけど、店の雰囲気は相変わらずだった。
「今日は思い出ツアーでもするの?」
「そんな感じかもしれませんよね」
曖昧な返事が少し気になるわね。でもまぁ、まだ夕食も食べていないからね。どうせ食事はしないといけないし。
もし四年前にいた従業員もいるかと思って少し見回したけど、あの人は見えなかった。他の店に行ったのか、それとも単に勤務日じゃないのかはよくわからないけど。
「ふーん。こうなると気になるんだけど。急に来ようと言ったのもそうだし、いざ来たら四年前に行った所にまた行って。どういうつもり?」
実は何の考えもなかった。どうせロベルが変な意図を持ったわけではないだろうし、私としても不満はなかったから。でも私の質問を聞いた瞬間、ロベルはなぜか真剣な顔をした。その表情が余計に気になった。
「ロベル?」
「昔からお嬢様は一人で前に行くことが多かったんです」
ロベルはまるで何気なく投げるように言葉を出した。
「そんな御方だということは知っていました。それよりもずっと前……具体的にはクラウン山脈のあの洞窟を訪ねた頃から、お嬢様は雰囲気が何か変わりました。あれから何事にも真剣になったというか……一人で何かを眺めて進むような印象がありました」
「それが不満だったの?」
「あの時ではありませんでした」
あの時は、か。今は不満だということだろう。どんな不満かはある程度予想はつく。これまで何度も指摘されてきたから。
「四年前、お嬢様は一人で重傷を負いましたね。もちろん意図されたことではなかったことは知っています。しかし、そこまで至る過程を考えると……お嬢様を護衛すべき僕とトリア姉貴を他の所に行かせてしまい、お嬢様は積極的に危険に向かって突進しました」
「それじゃダメってこと?」
「場合によっては仕方がない時もあるでしょう。しかし、お嬢様はその必要がないときでも一人で前に出ようとする傾向があります。その日大怪我をしてからも全然変わっていません。いや、むしろケイン王子殿下の視察の時を考えると、もっとひどくなったような気もします」
そのためにみんな私のことを心配してくれているという自覚はある。それはありがたいけど……私としてはちょっと不便なのよ。
私も別に死にたいわけじゃないわよ。ただ私の力なら解決できるから出るだけ。正直、今の私は攻略対象者全員と一度に戦っても余裕を持って勝つ自信がある。それほど力の差があるから、むしろ私が出た方が確実じゃない?
しかし、そんなことを正直に話すつもりはない。
「……あのね。休もうと連れてきたくせにそんな話だなんて、ちょっとアレじゃない?」
「申し訳ございません。でも、ぜひ言いたかったんです。もちろん前に出なくて僕たちに任せてくださいという意味ではありません。そう言ってもご納得くださるお嬢様でもないし」
私はじっとロベルの顔を見ながら次の言葉を待った。以前なら顔を少し赤らめたはずだけど、今のロベルは平気で私の視線に耐えた。
「ただ、何をなさるのか耳打ちしていただきたいです。……僕とトリア姉貴はお嬢様を守って補筆するために傍にいるのです。そしてジェリア公女とリディア公女はお嬢様の友達だし、アルカお嬢様は貴方様にとっても大切な家族でしょう。そんな人たちに何も言わずにただ心配ばかりかけるのが、お嬢様のご所望なのですか?」
……これだけは言葉に詰まる。
しかし、理解しながらも受け入れたくない私がいた。特に利他的なものではない。ただ他人に心配をかけることがあっても、私が他人のことを心配して心を痛めるのが嫌なだけ。これはむしろ利己主義だ。
しかし……それとは別に、ロベルたちの心はありがたい。その気持ちに応えてあげたいと思うほどでは。
だから私は口を開いた。
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