彼女の特性は?
「ところでテリアさん、話したいことがあると言っていませんでしたの? さっきその褒め言葉をしようとここまで呼んだようではなさそうで……」
あ。
そういえばそうだった。リディアのプレゼントのせいでちょっと混乱していた。
「そうですわね。はい、話したいことは別にありますわよ」
「うむ……リディアの足りないところを指摘するんですの?」
緊張するリディアが可愛い。さっきの堂々とした姿も今思うと可愛かったけど、今のギャップもすごいわね。抱きしめてしまいたい。
……自制しよう。
「まぁ、特に非難しようとしているわけではありませんけど、似ているかもしれませんね」
「やっぱりそうなんですね」
喉を鳴らすのが聞こえた。やっぱり可愛い。
私は笑い出してしまった。
「ふふふ、そんなに緊張しなくてもいいですわよ。ただ一つお聞きしたいだけですの」
「じゅ、準備できました!」
「いや、緊張しないでってば」
「でも……リディア、さっきちょっと生意気だったようで……」
思わず苦笑いしてしまった。リディアが気にする必要は全くないのに。むしろ私が一人勝手に良くない考えに陥っただけだから。
でもこれ以上時間を浪費したらリディアの方がもっと緊張しそうだから、むしろ本論から早く持ち出した方がよさそうだ。
「リディアさんはどうして特性を使わないんですの?」
「えっ? 特性ですの?」
「はい。この前、ディオス公子と戦う時はディオス公子が特性まで使って飛びかかるのに使わなかったし、先ほど魔物と戦う時も白光技だけ使ったでしょ?」
「ええと、それは……」
リディアはモジモジして返事が出てこなかった。
リディアが特性を長い間使わなかったのはゲームでも同じだった。しかし、特性を自覚していないわけではない。たまにリディアが魔力を使う時に起きた爆発や、怒った時に噴き出した熱気などが特性の片鱗だ。リディアが私にくれた赤い宝石もその特性の結果である。
すなわち、リディアは意図的に特性を使わないだけだ。
「もしかして危ないからですの?」
「えっと……その通りですの」
リディアは慌てて答えた。
やっぱりそうよね。リディアの能力は強力だけど、それだけ制御を間違えると危険な能力でもある。ディオスが最初にリディアをいじめる時も、リディアが誤って野生動物を負傷させたことを責めることから始めた。
そういうことがあったため、リディア自ら特性を使うことを避けた。無意識的にあるいは感情が激しくなって能力の片鱗だけが出てきたのだ。宝石を作り出したのはそれだけ大きな決心をしたのだろう。
しかし、そのままにしておくわけにはいかない。
「知ってますよね? 特性なく無属性の魔力だけを使う白光技だけではディオス公子に勝てません」
「はい……リディアも知ってはいます……」
「まさか白光技だけで戦うと意地を張ろうとしているのではないでしょう?」
リディアは首を横に振った。やっぱりそんな意味のない意地を張らないね。
しかしまだ迷いが感じられた。使いたくないというより、危険な能力だけに使いこなす自信がないのだろう。まともに使わずに過ごしたのもずいぶん前からだから理解できる。
私は『冬天』の魔力で氷の魔剣を一本作り出した。
「いいですわよ、練習してみましょう。私ならリディアさんの力を受け止められますので、心配しないで思いっきり使ってみてください。使いながら感覚を身につけるのが一番なんですの」
「えっ!? え、えっと……もしテリアさんが怪我したら……」
「リディアさん」
私はリディアの言葉を切った。そしてわざと傲慢な笑みで彼女をあざ笑った。
「リディアさんの力が私に少しでも届くと思いましたの?」
「……」
その瞬間、リディアの肩がビクッと上下した。その顔に次第に笑みが浮かべた。でも口元が少し震え、眉毛もピクピク動いた。
「テリアさん。本当に生意気に見えますよ」
「ふふ、ありがとう。私は挑発のことも鍛える方なんですわ」
「なるほど。では好意を受け入れてみましょうか」
「いくらでも来てください!」
私たちは同時にお互いに向かって突進した。
熱気が感じられた。『冬天』の冷気で中和して一閃。リディアは横に倒れるように避けてから剣で突いた。左手で弾き出すと、彼女はそのまま床を転がり、私の傍を擦れ違った。私が追撃しようと振り回した剣は下から弾き出された。そして姿勢を正さずに適当に床を蹴って一気に飛んだ。
左手の拳銃が私を狙った。速く発射された魔弾を剣で打ち落す間、リディアは体を起こして魔力斬撃を放った。スピードは速かったけれど、私はすぐに軌道を読んで体をひねった。
「!」
しかし魔力を感じた瞬間、再び振り向いて魔力斬撃を放った。二つの斬撃が空中でぶつかると爆発が起き、炎が上がった。
――紫光技特性模写『看破』
剣を握りしめて姿勢を整える。煙を突き通してリディアが飛び出した瞬間、私はすでに剣を振り回していた。
「うっ?!」
リディアは剣を防いだけれど、空中で体を支えられず飛ばされてしまった。それでも屈せず魔弾が飛んできた。私が魔弾を作って迎撃すると一部の魔弾が爆発した。
その間、リディアが剣を振り回そうとした。でも今度は先に近づいた私が剣を振り回した。剣の軌跡に沿って紫色の氷が急速に伸びた。
「はあっ!」
リディアは短い気合いで剣を突き出した。刃先に凝縮された熱が解放されて氷の中心部を溶かした。私はその刃先を精一杯弾き飛ばした。
「きゃあ!?」
バランスを崩しながらも即席で作り出した魔弾が相次いで発射された。しかし私も魔弾を撃って相殺した。同時に足を伸ばしてリディアの腹部を蹴飛ばした。リディアが後ろに転がった。
「まだ……ですよ!」
熱気と共に魔力が大量に凝縮された魔弾が飛んできた。私は突進しながら手のひらに魔力を集めた。
――極拳流〈壊山掌〉
凝縮された『冬天』の魔力が解放されて魔弾を相殺し、そのまま突進して振り回した剣はリディアの剣に阻まれた。しかし私の力に押されたリディアはその場にひざまずいた。彼女は拳銃を捨てて両手を剣に当てたまま力を入れたけれど、それでも私の剣はびくともせずリディアを圧迫した。
「……ここまでにしましょう」
これ以上は必要ないと判断した。リディアは残念そうに舌打ちした。
「結局相手にもなりませんでしたね」
「まぁ、そもそも修練を真剣にしてきた年月が違いますからね」
実際には私が持っている二重チートのおかげだけど、とにかく修練にかけた時間が次元が違うのは事実だ。才能だけを考えると、リディアも攻略対象者であるだけにチート級だし。
「それにしても、やっぱり特性活用度が低いですわね」
「えっ……それでも結構使ったと思ったのに……」
「甘いですわよ。その程度で私を騙せると思いましたの?」
実際にある程度使ってはいたけど、今回もほとんど片鱗のレベルだった。そもそも本気を尽くしたリディアの火力はこれほどじゃないから。
まあ……ゲームのように〝本気を尽くす〟状況は出ない方がいいけれど、特性をきちんと引き出すことは必要だ。
「まだ特性を使うのが迷いますの?」
「えっと……はい、ちょっとね。それでもできるだけ使ってみようと努力はしましたけど……」
「やろうと言ってすぐにできるなら苦労もしないでしょう。一応ある程度使ったので、これからは特性をきちんと引き出すことを重点的に訓練しましょう。あ、それから武器も」
「武器?」
「ええ、武器。リディアさんの剣術も悪くないんですけど、そもそも本当の主力は違うでしょ。ディオスさえも知っていました」
「それはそうだけど……」
「あのスーツケース、今度はちゃんと使ってみましょう」
「!? そ、それは……」
リディアの勢いは著しく弱まった。
特性の次は武器、本当に一難去ってまた一難だけど、もう克服し始めているから、そちらは大きな問題ないだろうね。
「で、でもそれ、ちゃんと使ったことがないので駆動テストからしなきゃいけないんですけど……」
……本当に大丈夫かしら。
一瞬そんな疑いがあったけど、すぐに気を引き締めた。そもそもゲームでもまともにテストしたことがない状態で使ったから大きな問題はないだろう。いや、むしろ決闘前にテストする機会があるだけに、ゲームよりもはるかに状況が良い。
「大丈夫ですの。私が保証しますわ。今まで私の断言が間違ったことがありましたの?」
「合いすぎて、むしろ不安になるほどです。一体テリアさんはどうしてそんなことを全部知っているんですの?」
「オステノヴァの情報力と言っておきましょう」
「いったいオステノヴァって何をするんですの!?」
「ふふふ、そうですね? 少なくともリディアさんのような人たちに危害を加えることはありません」
ディオスみたいなやつらは少し懲らしめるけどね。
リディアはため息をつきながら決断を下した。
「分かりました。リディアの武器、できるだけ点検して完璧な状態にします」
「ほう? 完璧って、本当にできますか?」
「無視しないでください! もうこれ以上兄様の謀略に振り回されるためにも頑張ります!」
「ふふ、いい勢いですわよ。ずっとそのままにしましょう」
大体ピースはすべて集まった。
まだ少し不安な部分はあるけれど、時間は少しだけどまだいる。その時間の間、できるだけ不安な部分をカバーすればいいだろう。リディアが全力を尽くすことができれば最高だけど、たとえそれができなくても勝算は十分確保できる。
そんな心配と期待を抱いて、私たちはついに決闘の日を迎えた。
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